ログアウト

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正と相続税 (13.9/2更新)
 「犯罪による収益の移転防止に関する法律」、いわゆるゲートキーパー法の改正に伴い、平成25年4月から、金融機関における本人確認等の手続きが、従来よりも強化されている。
 金融機関において、取引時に本人確認等の手続きが必要となる取引とは、

・口座開設、貸金庫、保護預りなどの取引の開始時等
・200万円超の現金・小切手の受払い等
・10万円超の現金振込、外国送金等

が該当するが、これらの取引の際に、従来の本人確認書類の提示による氏名、住所、生年月日等の確認に加え、取引目的、職業、事業内容、法人の実質的支配者等の確認も行うこととなった。
 そもそも、ゲートキーパー法は、マネーロンダリングやテロ資金供与を規制するために設けられたもの。ただ、改正により金融機関における口座取引や取引金額の確認記録の監視が強化されたことで、これまで以上に、相続にかかる財産確認に効力を発揮することが予想される。
 相続が発生した場合に、金融機関に設けられた口座の名義が問題となるケースは少なくない。その口座の真の名義人が、被相続人であるのか、それとも相続人であるのかによって、相続財産の形成や、相続税額に影響が及ぶからだ。
 例えば、被相続人の存命中から、被相続人名義の口座の管理を相続人が行い、預金の引き出し等を行っていたのであれば、その口座を実質的に管理していた口座の権利者は相続人であったという主張も想定される。
 このようなとき、税務上、その口座の真の名義人が被相続人若しくは相続人であるかが問題になると、金融機関に保存されている取引記録が、被相続人名義の口座の真の権利者が相続人であったと推認できる間接的な証拠と成り得る可能性も否定できない。
 ゲートキーパー法では、金融機関は口座取引の記録を7年間保存する義務が課されている。もちろん、相続の発生は避けては通れない事象であり、常日頃から財産整理を怠らないことが、一番の相続対策であることは間違いない。

資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ 前に戻る税務研究会ホームページ