ログアウト

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

相続により取得した不動産の取得価額と長崎年金訴訟 (13.11/1更新)
 東京地裁が、相続により取得をした不動産を譲渡して得た所得の計算において、課税当局の更正処分を支持した事案が注目されている(平成25年7月26日判決言渡)。
 この事案は、相続税の課税対象となった部分の金額が譲渡収入金額から控除されるのか否かを主な争点としているが、注目されるのは、平成22年7月6日に最高裁が納税者を支持して話題になった、いわゆる長崎年金訴訟の判断がこの事案に影響するのかに関心が集まっているからだ。
 事案において問題となったのは、被相続人が不動産を所有している間に増加した部分(下記(参考)の「増価分B」)の課税関係。
 長崎年金訴訟の最高裁判決については、最高裁判決研究会が「「生保年金」最高裁判決の射程及び関連する論点について」を取りまとめ、判決の趣旨及びその射程等について、「定期金」に限定されるとの整理を行っている。そして、土地、株式等の値上がり益については、所得税法60条1項は、被相続人の取得価額(A)が相続人に引き継がれることを規定しており、相続人がその財産を将来譲渡した時点において、被相続人段階での増価分(B)を含む値上がり益(D)に対して、所得税を課すことを法が予定しているとした。

 今回の事案において、課税当局は、この報告書の内容に沿って主張を行い、東京地裁も課税当局を支持した。
 ただ、この事案は控訴され東京高裁に判断の場を移していることから、高裁がどのような判断を示すのか、実務家が注目する事案となっている。

資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ 前に戻る税務研究会ホームページ