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今月の資産税ニュース

国外財産調書制度を背景に企業経営者の国外進出が増加傾向に (14.3/4更新)
 国外財産調書制度が創設され、その年の12月31日において、合計額が5,000万円を超える国外財産を有する者は、「国外財産調書」をその年の翌年の3月15日までに、所轄の税務署に提出しなければならないとされている。平成25年12月31日において、国外財産が5,000万円を超える者は、平成26年3月17日(15日は土曜日のため)が提出期限となる。
 国外財産調書に、その国外財産の種類、数量、およびその価額等を記入し、期限内に提出すれば、国外財産調書に記載されている国外財産に関して申告漏れが生じた場合でも、過少申告加算税が5%軽減され、逆に、期限内に提出しなかった場合に申告漏れが生じたときは過少申告加算税が5%加重される。
 ところで、この国外財産調書制度の創設を背景に、国外に進出する企業経営者が増加しているようだ。シンガポールに拠点を構え、日本企業の海外進出支援サービスや、国際税務アドバイザリーサービスを行っている会計事務所でも、その傾向は顕著にみられるといい、特に目立つのは、中堅・中小企業の経営者であるという。
 シンガポールへ進出する形態については、
@日本の経営者がシンガポールに個人会社を設立するケース
A事業展開のため、日本の経営者がシンガポールへ移住するケース
B日本の国内法人の株式をシンガポールに移転するケース
等があるが、問題となるケースもけっして少なくない。
 @のケースでは、経営者は日本の居住者のまま、シンガポールに個人会社を設立するが、設立したシンガポール法人がTH(タックスヘイブン対策)税制の適用除外要件を満たしていない場合も少なくない。仮に、個人にTH税制が適用される場合、合算される所得は雑所得となる。
 Aのケースは、経営者が自らシンガポールへ移住するケースだが、日本国内の後継者が育っていない等の理由から、日本国内法人の代表取締役から退任できないと、日本の居住者に認定される可能性があるという問題があり、仮に非居住者と認定された場合でも、役員報酬が過大と認定されないか等の疑義が生じることとなる。
 Bのケースは、経営者が日本の非居住者となり、日本国内法人の株式をシンガポール法人に移転するケース。ただこの場合、シンガポール法人は子会社による親会社株式取得に制限がある等の理由から、三角合併が難しいので、現物出資や売買によることとなる。


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