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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

税理士先生の???・・・を即座に解消!専門家向けQ&A集

経済産業省令と新事業承継税制との関連 (2008.11.07更新)
Q  最近、事業承継税制、経営承継円滑化法、相続税の課税方式の変更をテーマにしたセミナーが開催されたり、専門雑誌で特集が組まれたりしています。また、経営承継円滑化法の施行規則も成立し、それが事業承継税制とも関連していると聞きます。これらの内容と関連について、簡潔に説明をしてください。

A

(1)事業承継税制と相続税の課税方式の変更
 「平成20年度税制改正の要綱」(平成20年1月11日閣議決定)には、@「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」(いわゆる「新事業承継税制」)を創設し、さらに、新事業承継税制の制度化にあわせて、A相続税の課税方式を遺産取得課税方式に改めることを検討する旨が記載されています。
 これらは、平成21年度税制改正において行われる予定ですので、「要綱」以上の詳細な内容は、明らかになっていません。なお、@については、平成20年10月1日に遡及して適用される見込です。

(2)経営承継円滑化法
 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(「経営承継円滑化法」又は「円滑化法」、平成20年5月9日成立)には、@遺留分に関する民法の特例(制度整備と周知期間を考慮して、平成21年3月1日から施行)とA金融支援措置(事業承継の際に多額の資金ニーズに対応するための措置で、平成20年10月1日から施行)について具体的に規定されています。B相続税の課税についての措置(新事業承継税制)については、同法の附則第2条で「平成20年度中に、(中略)相続税の課税について必要な措置を講ずるものとする。」と規定されており、平成21年度税制改正で明らかになります。

(3)経済産業省令
 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」(経済産業省令、平成20年9月5日成立)は、(2)@〜Bのすべてに関連しています。
 例えば、@の民法の特例については、その手続に必要な申請書や添付書類等が定められています。また、Aの金融支援措置については、該当する資金の定義や手続等について規定されています。さらに、Bの新事業承継税制については、そのベースとなる定義や要件(基本的な手続の構成、認定等の要件、添付書類等)が規定されています(これらの定義や要件は、税制においてそのまま援用される予定です。ただし、一部、追加又は修正がされる可能性もあります。)。
  すなわち、新事業承継税制の詳細な内容は、平成21年度税制改正に係る税法、政令及び財務省令において規定されることになりますが、その新事業承継税制の要件・手続等(の一部)について、経済産業省令が、新事業承継税制に先行して規定していると理解することができます。


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