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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

税制改正のトピックス

平成21年度の税制改正で創設される事業承継税制の概要 (08.12/18更新)
 12月12日、平成21年度の税制改正大綱が与党から公表されました。
  昨年の大綱に明記されていたことから事業承継税制の創設と、それに伴う相続税の課税方式の見直しの動向が注目されていましたが、課税方式の見直しについては、「さらに議論を深める必要がある」とされ、21年度の改正では見送られることとなりました。
  一方、事業承継税制については、昨年の大綱でもそのおおまかな内容については記載があったものの、詳細については、今回取りまとめられた21年度の大綱で明らかにされた項目があり、改めて確認をしておきたいところです。

■免除される場合を具体化
  これまでにも周知されている通り、事業承継税制では、中小企業の事業継続に必要とされる非上場の自社株式等の相続税については、80%納税が猶予されることとなり、一定の場合には猶予された相続税が免除されます。
  この事業承継税制の適用に際しては、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行規則が要件となることが既に明らかになっていますが、猶予された納税が免除される一定の場合については、今回の税制改正において手当されることとなっていました。
  この点について、大綱では、
・ 会社が破産又は特別清算した場合、
・ 納税猶予の対象となった株式の時価が猶予税額を下回り、事業を継続するためにその株式を譲渡した場合、
・ 次の後継者に納税猶予対象株式を贈与して、事業の継続を図る場合、
に猶予された税額が免除されるとしています。

■贈与も納税猶予の対象に
  また、この納税猶予制度については、平成21年4月1日以後に親族に贈与された株式についても適用されることとなりました。よって、後継者に納税猶予対象株式を贈与して、事業の継続を図る場合には、経営者は納税の免除を、また、後継者は猶予を受けることとなり、その上での事業継続が可能となります。
  事業承継税制と贈与の関連については、どのように手当がされるのか、注目されていたところですが、今回贈与についても納税猶予が適用されることが明らかになったことで、事業継続を行う上で納税猶予制度が有効に活用されることが期待されることとなりました。

■小規模宅地と信託についても制度化へ
  さらに、相続税の納税猶予制度については、小規模宅地特例との完全併用が認められ、それぞれの制度の上限までの適用が可能とされています。
  この他にも、「株式の信託を活用した事業承継に係る環境整備」については、平成21年度中に納税猶予制度の適用が検討されることから、その動向が注目されます。

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