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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

税制改正のトピックス

−事業承継税制で創設される相続税と
   贈与税の納税猶予制度−
(09.1/19更新)
■納税猶予は贈与税についても制度化へ
  事業承継税制が平成21年度の税制改正で創設されることになりました。
  平成20年度の税制改正大綱には、相続税の納税猶予制度の創設だけが明記されていましたが、昨年の12月に公表された平成21年度の税制改正大綱では、相続税とあわせて、贈与税の納税猶予制度も創設されることが明らかにされています。
  この贈与税の納税猶予制度は、事業の承継に必要とされる自社株式の贈与を、後継者である先代経営者の親族が受けた場合には、その後継者の贈与税の納税を猶予するという制度で、猶予税額の納付、免除等については、相続税の納税猶予制度と同様の措置が講じられることとなります。

■相続税と贈与税で異なる適用要件
  税制の適用にあたっては、相続税と同様に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行規則が要件とされますが、贈与税の納税猶予制度の場合には、相続税の適用要件のほかに新たな要件も付されることとなります。
  この贈与税の納税猶予の要件については、現行の経営承継円滑化法の施行規則を改正する必要があることから、中小企業庁では施行規則を改正するとしています。そして租税特別措置法とリンクして納税猶予を制度化することとなります。
  贈与税の納税猶予制度の具体的な要件についてですが、まず事業を受け継ぐ後継者については、相続税の納税猶予制度の相続人の要件である、「会社の代表者であること」、「先代の経営者の親族であること」、「その後継者と同族の関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、同族内では筆頭株主となること」に加え、「20歳以上で、役員就任から3年以上経過していること」も要件とされます。
  また、先代経営者については、「会社の代表者であったこと」や、「同族関係者とあわせて発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、同族内で筆頭株主であったこと」、という相続税の要件のほかに、「役員を退任すること」も求められます。さらに対象となる自社株式の贈与にあたっては、「一括で贈与すること」が必要となります。

■適用日も異なることに
  なお、制度の適用時期については、相続税の納税猶予制度が、経営承継円滑化法の施行日である平成20年10月1日以後の相続について遡及して適用されるのに対し、贈与税の納税猶予制度については、税制改正を受けた後、平成21年4月1日以後の贈与からの適用とされています。
  事業承継税制に関連しては、今後、明らかになる租税特別措置法とあわせて、経営承継円滑化法の施行規則も再確認しておく必要があるでしょう。

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