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コロナ禍で変化する経理部門の課題 ~時間の経過とともに変わっていく課題と、解決に向けた最新の取り組み例~

新型コロナウイルス禍、経理部門で関心を集めたものがある。それは、リモートワークとペーパーレスである。当初これらは対応することが難しいといわれたものの、経理部門はIT活用を通じて徐々に実現していった。こうした状況の中、取り組むべき課題にも変化が見られるようになる。導入支援を行う企業の多くで「経理部門の残業軽減」を実現させた、ブラックライン株式会社の石川康男氏。新型コロナがもたらした経理業務の変化と最新の取り組みを語る。

リモートワークから人手不足解消が課題に

石川康男氏
石川康男氏
ブラックライン株式会社 カスタマーチーム 部長
米国公認会計士-Inactive

20年以上にわたり様々な業種・規模の日系・外資系企業の経理畑を歩む。SAPや複数の会計システムを使いこなす。元ブラックラインユーザー。2019年2月、ブラックライン株式会社に入社。プロダクトのローカリゼーション、ソリューション提案、導入プロジェクトの責任者など幅広い業務に従事。2021年4月よりカスタマーチーム部長に就任。導入プロジェクト、サポート、CSMを統括。

編集部:コロナ禍は経理業務に大きな変革をもたらしました。ただ、時間の経過とともに、解決しなければならない課題にも変化が生じているように思います。1年前と現在、経理の現場が抱える課題はどのように変わりましたか。

 2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、リモートワークの実現が大きな課題になりました。当時、経理部門には紙やハンコの文化が根強くあり、出社率2割を掲げたものの実際は7割も出社、というケースが少なくありませんでした。

 ペーパーレスは実現が難しいという声も根強く残る中、IT活用が徐々に浸透しはじめ、ブラックラインを導入したお客様からは「リモートワークができるようになりました」、というありがたいお声を多数頂戴するようになりました。

 リモートワーク、ペーパーレスという課題が解決しつつある中、課題にも変化が生じ、最近は人手不足、期末の長時間残業を課題に挙げる企業が増えています。これら課題は以前から存在していましたが、リモートワークなどが実現する一方で、やはり解決しなければならないのは人手不足だ、と改めて考える人が増えているという印象です。

人手不足、期末の長時間残業を解決するにはどうしたらよいでしょうか。また、お話の通り、こうした課題は以前から言われているものの、なぜ、なかなか解決できないのでしょうか。

 解消するには、生産性を上げることがひとつです。生産性を上げれば、現在の人数(労働時間)でより多くのアウトプットが可能になり、結果、人手不足や長時間残業が解消されます。ただ、わかってはいるものの、なかなか生産性は上がりません。

 その要因は多岐に渡りますが、どれをとっても一筋縄ではいかないものばかりです。私はブラックラインに入社する前は、20年以上にわたり経理畑でキャリアを積んできました。ある企業に転職したときのこと。不必要と思える業務を思い切ってやめてみました。必要な業務ならば苦情が来るはずです。ところが、叱られるどころか、誰にも何も言われませんでした。長い間ルーティーンで行っている業務の中には、無くしてしまっても構わないようなものが温存されていることがあるのです。

 ムダの削減は生産性向上につながることは明らかですが、業務を減らすのは簡単ではありません。が、解決の道はあります。私が参加したプロジェクトの事例を紹介しましょう。私が現場のマネジャーにヒアリングした時のことです。「この業務はなぜ実施しているのですか?」と問うと、「担当者でないとわかりません」という答えが返ってきました。

 経理業務はエクセルを用いてマニュアル(手)で作業を進める形が中心です。エクセルは何でも自由に設定できる点がメリットですが、自由に設定した結果、担当者でないとわからないという状況が生まれます。

 そこで、担当者にも同じように尋ねてみました。すると、「前任者が行っていたので私も行っています」と言います。

 時代もシステムも変わる中、担当者はこの業務は不要ではないかと感じる場合もあります。ただ、他者の業務は見えないので、やめたときどのような影響が生じるのかわかりません。リスクを考えると、止めずに続けるほうが無難だという結論になり、必要かどうかの判断が先送りになったままになります。

 そこで、プロジェクトで取り組んだのは「脱エクセル」。第一歩として、業務の可視化を推進しました。ブラックラインには「タスク管理」というモジュールがあります。プロジェクトでは、こちらを用いて、決算手順の標準化と進捗状況の可視化に取り組みました。決算手順が明確になる過程で不要な業務やムダな作業が明らかになります。加えて、ブラックラインは承認のログや文章データなどの関連情報を一元管理するので、メンバー全員が情報を共有できるようにもなりました。

企業成長を支える経理部門のDX推進・人材の実態と課題とは?

IT活用が難しい部分を敢えて自動化

石川さんは数多くのプロジェクトでお客様の声を直接耳にし、寄り添いながら経理業務の変革に携わってきました。ほかにも、どのような課題を解決しましたか。

 最近のプロジェクトでは、「自動化」に関するご要望が増えています。現場では、すでにERPや会計システムにより、販売や仕入れに関する自動化は進んでいます。ところが、決算作業となると自動化が進んでいない部分もあり手作業がメインです。

 具体例として、入金の消込業務の自動化にどのように取り組んだのか、私が携わったある事例を紹介しましょう。その企業ではすでに他社ソリューション上で6割程度、作業が自動化されていました。

 ただ、消込対象から外れた勘定についてはエクセルで消込管理しなければなりません。債権明細と入出金明細を左右に並べ、マニュアル(手作業)で色を付します。さらに、色を見ながら残ったものがどこからの何の入金なのかを調べるわけです。

 ブラックラインには、こうしたERPや会計システムで漏れた部分に対して、消込作業の自動化率をさらに向上させ8割、9割まで引き上げる機能があります。結果、この企業では効率化が進み生産性向上につなげることができました。

 また、口座の引き落としについても、ガス代や電気代など毎月金額が変動するものをブラックラインが入出金のデータを取り込み、摘要欄から判別、自動仕訳(起票)することもできます。

 ブラックラインは、会計システムやERPを補完するソリューションとして、現場ではシステムから漏れてしまい、手作業を余儀なくされている部分を自動化するところに特徴の一つがあります。

ほかの事例や効果についても教えてください。

 グループ会社間の照合手続きにお困りとの声もよく頂戴します。私が以前勤めていた経理部門の中には、「グループ会社間の取引は合うはずがない」が当たり前という企業もありました。話をうかがってみると「親会社は起票したが、子会社は計上せず、連結手続きの時に合っていないことがわかり、そこから照合手続きをする」という状況でした。手作業のため、時間も労力もかかり、期末の長時間残業の要因にもなります。

 このような問題に対して、ブラックラインでは会社間取引の残高や明細の突合を行い、不整合が生じた場合には差異を特定します。また、この突合処理を決算時まで放置するのではなく、月中に前倒しで実施する点もポイントです。関係会社間の取引が整合された形でグループ各社の決算が締まり、後続の連結処理が大幅に効率化されます。

 では、実際にブラックラインを導入したらどのくらい効率化できるのか。国内導入事例では、9カ月で決算の工数を20%削減したというものがあります。ほか、従来、残業しながら3日かかっていた業務が3時間でできるようになった、入金消込み200件中漏れが1件のみ、消込率ほぼ100%といった事例もあります。

 お客様からは、「定時で帰れるようになりました。ありがとうございます」という嬉しい声をよく頂きます。

企業によって、抱える課題は様々だと思います。人手不足、効率化のほかにもどんな課題を耳にしますか。

 「子会社の不適切会計を防ぎたい」。最近、内部統制、中でも海外にある子会社のガバナンスを強化したいという声が増えています。海外の子会社の業務は日本国内からは見えにくいものです。私は海外勤務も経験したことがありますが、そのとき簿外債務の問題や棚卸資産の毀損などを目にしました。監視が届きにくい分、不正が起こりやすいのも事実です。

 ただ、統制と生産性は相反しやすいもので、問題を未然に防ごうとチェックを増やせば時間がかかり生産性は落ちます。反対に効率を追求しチェックを減らすと、今度は不正が生じやすくなります。生産性を落とさず内部統制を強化したい、とりわけ海外子会社の不適切会計を防ぎたいというご要望は年々増えています。

 ブラックラインの場合、導入により可視化・標準化が進みますので、海外子会社の業務内容も見えるようになります。さらに、自動化も進みますので人の手による作業領域が狭まり、これが不適切会計の防止にも貢献します。

 最近では、ブラックラインを日本の拠点に導入する前に、海外子会社のほうに先に導入したいという話も増えています。

 もう一つ、よく頂戴する声は監査対応に関するものです。経理部門は会計監査の対応に時間をとられます。以前、私が経理の仕事をしていた時、本音を吐露するならば、監査対応は自身の評価につながるわけでもなく、できれば対応時間を短くしたい、せめて去年と同じ質問には答えなくてもよいようにしたい、などと感じていました。

 最近は、明細については会計士が直接会計システムなどに入り自分たちで調べる、という風潮に変わりつつあります。ただ、それ以外のドキュメントについては、やり取りが必要です。ブラックラインでは、監査人にIDを発行しブラックラインに入ってもらうことで、その他必要な資料を監査人がセルフで入手できるようになります。

 また、監査人は社内の人たちのやり取り、コメントなども閲覧できるので、結論に至った過程や理由を知ることができ、質問の頻度も減らすことにも繋がります。

可視化や効率化、生産性向上。これらを実現するにはIT活用が欠かせません。ただ、決算業務は手作業への依存度が高くIT活用は難しいとされてきました。が、石川さんのお話から実現は不可能ではないと感じました。ところで、取り組みを成功させるためのコツはありますか。

 経理業務、なかでも決算業務のIT活用は難しいと言われていますが、実際のところ、活用している企業は増えています。ブラックラインは全世界、多くの国で導入されており、導入企業数は4000社を超えています。日本でも、物流大手やゲームソフト開発大手、市販薬大手ほか、不動産、飲食、印刷からメーカーまで幅広い業界の名だたる企業が導入しています。しかも、継続率97%と多くの企業で長くご利用いただいております。

 導入を成功に導くコツのひとつとして、トップダウンがあります。現場はもとより、現場だけでなく、トップの意識も高く保つことが大切です。たとえば、期日を決めたら期日までに実行できるよう、トップがしっかりと関与しているといったことがプロジェクトを成功させる一因になります。

 時折、期日までに決められたことが終わらなくても、だれも何も言わず放置され、導入に遅れが生じるケースもあります。そうした中で、CFOがリーダーシップを発揮して変革を進める形をとると、スムーズに導入が進みます。

 もう一つは、「できない」「無理」だと決めつけないことです。コロナ禍当初、経理業務のリモートワークは実現が難しいといわれていました。当時のプロジェクトでは、会議一つとっても、客先に足を運ぶのは当たり前。それが、今ではWeb会議が通常で、お客様からは「会議室の確保が面倒ですし、来社しなくてよいです」などと言われるようにもなりました。

 世の中は移り変わります。実際、海外では決算業務のIT活用は浸透しつつあります。ブラックラインは日本における知名度はあまり高くないかもしれませんが、海外では広く知られています。

 ブラックラインを身近な物に例えるならば、スマートフォン(スマホ)のようなものといえるのではないでしょうか。スマホが市場に出回り始めた当時、私はシンガポールに住んでおり、周りはスマホを利用していました。が、日本でのスマホの普及率は3割程度で、多くの日本人は「ガラケーがあるからスマホは不要だ」と口にしていました。ただ、スマホを使い始めるとその便利さに気づき、やがて日本でもスマホは無くてはならないものになっていきました。

 同じように、ブラックラインも一度ご利用いただければ良さが伝わり、やがてなくてはならないものになると信じています。

財務経理部門を変革!戦略的コア業務への人材シフト

経理部門の未来像

効率化が進むと余剰の時間が生まれます。結果、経理部門の役割も変わるのではないでしょうか。

 現在、経理部門の多くは「取引を正しく記帳すること」が主な役割となっています。経理は「スコアキーパー」「数字を締めて終わり」といった状態を脱して、今後は企業の「ビジネスパートナー」という位置づけになるべきだと私は思います。

 経理部門は日々、帳簿を目にして会社の状況を把握しています。こうした部門の人たちがマネジメント層に対して意見・提言することで、よりよい意思決定に貢献する時代が訪れるべきです。

 海外ではFP&A(Financial Planning & Analysis)といって、財務や会計の知識をもとに企業戦略のアドバイスを行う職種が当たり前のように企業内に置かれています。FP&Aが分析手続きを担い、データをタイムリーに届け、経営に意見・提言をしています。日本ではまだそこまで浸透していませんが、近年、FP&Aを置く日本企業が増え普及し始めています。近い将来、経理はアドバイザー、ピジネスパートナーといった部署になっていくと私は感じています。こうした時代の流れの中、ブラックラインは経営に貢献する存在でありたいと願っています。


ブラックライン株式会社

ブラックラインは決算業務プロセスのデジタル化、リモート決算を実現するクラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」を提供しています。「BlackLine」は運用効率向上、リアルタイムの可視化、統制およびコンプライアンスの改善によって、単一の統合クラウドプラットフォーム上で決算業務管理と経理業務の自動化が可能となり、導入企業は継続的な経理モデルへと変革することができます。そして、自動化による経理財務業務の近代化を支援することで、より正確で洞察に富んだ決算報告書の作成と更に効率的な決算処理を実現できます。世界130か国以上、4000社を超える企業に利用されています。

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