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電子申告義務化対応 実務担当者の今後の課題と解決策

はじめに

平成30年度税制改正により創設された「電子情報処理組織による申告の特例」により、令和2年4月1日以後開始事業年度(課税期間)に適用される、法人税等の電子申告義務化がいよいよスタートしました。
内国法人のうち資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人ならびに相互会社、投資法人及び特定目的会社が対象法人となり、法人税申告書別表はもちろんのこと、財務諸表や勘定科目内訳明細書、その他添付書類についても電子申告が義務付けられています。対象の書類を電子的に提出しないと無申告になる恐れもあり、漏れのないように準備を進めていくことが重要です。
対象法人においては、電子申告義務化へ向けた対応を進めているなか、週刊 税務通信 編集部では、誌面企画として、株式会社TKCの協力のもと、TKCシステムユーザー企業の経理部門のご担当者の方々にお集まりいただき、電子申告義務化対応についての座談会を開催しました。

(座談会開催日:令和2年2月21日)

※本稿は、週刊 税務通信 №3607 令和2年6月1日号のスピン・オフ広告企画となります。
週刊 税務通信 №3607掲載記事とは、趣旨・内容が異なります。

【座談会参加メンバー】

[モデレーター]

税理士 長谷川 暢彦 氏
(TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 電子申告義務化支援プロジェクトリーダー)

[パネラー]

栗田 芳典 氏(アサヒプロマネジメント株式会社 財務企画部 税務グループ グループリーダー)
中井 剛 氏(伊藤忠商事株式会社 経理部 税務室 税務室長代行)
森田 晋太郎 氏(株式会社オンワードホールディングス 経理・IR部 決算課 課長)

※社名五十音順

座談会では、税理士の長谷川氏の進行に則って、電子申告を利用するにあたり必要となる「電子証明書の取扱い」から、「電子申告未対応の帳票と添付書類の電子申告化の対応状況」、「グループ子会社の管理と対応」、「電子申告義務化に対する研修体制」など、電子申告義務化における各社の対応状況と疑問点等について、様々な意見交換が行われました。

電子申告の義務化の対象法人は、申告書だけではなく、法人税法等において添付すべきこととされている書類も含め、e-Taxにより、提出する必要があります。使用している税務申告ソフトで対応していない別表等がある場合、原則、国税庁が提供しているe-Taxソフトを利用するなどして提出しなければなりません。座談会では、別表8(1)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」や別表16(1)「旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」が添付書類も含めると膨大な量になることに触れ、法令上電子申告義務化の対象となっている書類をどのように電子化するか、が大きな論点となりました。

紙から電子へ~膨大な量となる財務諸表や勘定科目内訳明細書などの添付書類の電子化についてどのように対応するか? 紙から電子へ~膨大な量となる財務諸表や勘定科目内訳明細書などの添付書類の電子化についてどのように対応するか?

長谷川 暢彦 氏
長谷川 暢彦 氏
(TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 電子申告義務化支援プロジェクトリーダー)
中井 剛 氏
中井 剛 氏
(伊藤忠商事株式会社 経理部 税務室 税務室長代行)

【長谷川】電子申告義務化後は、別表や添付書類は原則、紙での提出は認められませんが、一部の別表や添付書類はPDF形式の提出が認められます。添付書類については、例えばPDF形式では一度に送信できる容量が8MB(100枚程度)、計10回までの追加送信で合計88MBまでしか送信できませんが、送信可能な容量におさまらない場合は、光ディスクに格納して送付することができます。

一方、財務諸表などは、その分量の多さなどから、現在は紙で提出されていると思いますが、これも今後は、紙提出はもちろんのこと、PDF形式での送信も認められていません。現行のデータ形式であるXBRL形式で送信するか、あるいは国税庁が指定する「勘定科目コード」、「標準フォーム」を使うCSV形式で送信することになります。また、別表8(1)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」など、記載量が多くなるものについても原則として現行のデータ形式であるXML形式による送信となりますが、その明細部分のみをCSV形式で送信することもできます。

現在の財務諸表等の提出方法はどのような状況でしょうか。また、電子申告義務化後の提出方法についてはどのようにお考えでしょうか。

【中井】財務諸表、勘定科目内訳明細書等については、現在は紙で提出しています。今後発表されるTKCシステムを利用して、自社のExcelベースの財務諸表を国税庁の勘定科目コードや標準フォームに基づくCSV形式へと変換した上で、送信することを考えています。

【森田】弊社も現状はExcelベースで財務諸表を作成し、紙で提出しています。グループ子会社も同様です。実は、現在、新たに発表されるTKCシステムのパイロット版をテスト利用させてもらっており、弊社独自のフォーマットに基づくExcelの財務諸表データを国税庁指定のCSV形式の財務諸表データへ変換しました。比較的スムーズに行えましたので、この方法で申告することを考えています。

グループ子会社によって、財務諸表の勘定科目等のフォーマットがバラバラなので、今回の令和2年2月決算分の申告において、まずはグループ各社でフォーマットを合わせるところから始めたいと思っています。

【栗田】弊社も現状は、紙ベースで財務諸表を提出しています。会計上の勘定科目体系はグループ各社で統一していますので、あとは今後発表となるTKCシステムで国税庁指定の勘定科目等への変換が容易にできれば、財務諸表のCSV形式での送信も比較的容易なのではと考えています。

【長谷川】財務諸表をCSV形式で電子申告する場合は、現在使用している勘定科目に、国税庁が策定・公表する勘定科目コードを付して送信することになります。国税庁指定の勘定科目コードはEDINETの勘定科目をベースに約6400科目あるので、各社の勘定科目に対応するものは見つかるとは思います。どうしても見当たらなければ、科目を独自に追加して送信することもできますが、財務諸表のCSV化は、初年度においてはやや作業が大変になるかもしれないという感じはします。

財務諸表だけでなく、勘定科目内訳明細書もCSV形式での送信が認められますが、これも国税庁指定の標準フォームに沿った形で作成することになります。例えば、半角片仮名や記号が使えないなど、制約の多いルールがありますので、各社が現在作成している勘定科目内訳明細書のひな型をそのまま使うことは難しいでしょう。勘定科目内訳明細書のCSV化については、財務諸表以上に大変であろうという印象をもっています。

紙から電子化するにあたり、この点を検討すると国税庁指定のフォーマットへ、どのように変換するのかがポイントとなりそうです。各社、国税庁指定のCSVに対応しているTKCシステム「法人電子申告システム(ASP1000R)」および「連結納税システム(eConsoliTax)」の新機能に期待されているようですが、まずは関連会社も含め、グループである程度、フォーマットを統一していくことが必要になりそうですね。

事前のトライアルが大事~グループ関連会社も含めた今後の対応について 事前のトライアルが大事~グループ関連会社も含めた今後の対応について

いよいよ本番直前となる電子申告義務化ですが、やはり気になるのが今後における各社の対応状況について。グループ関連会社の研修体制と今後の予定についても関心度の高いトピックとなりました。

栗田 芳典 氏
栗田 芳典 氏
(アサヒプロマネジメント株式会社 財務企画部 税務グループ グループリーダー)
森田 晋太郎 氏
森田 晋太郎 氏
(株式会社オンワードホールディングス 経理・IR部 決算課 課長)

【長谷川】皆さんのようにグループ全体の会社数が多いと、子会社の管理が大変だと思います。電子申告義務化に向け、グループ全体での研修を行うかと思いますが、研修体制と申告へ向けたグループ全体の今後の予定について教えてください。

【中井】電子申告義務化への対応についても、連結納税グループ全体に対しての講習会を夏から秋にかけて予定しております。弊社は3月決算ですので、令和3年3月期から電子申告義務化が適用されますが、親会社については1年前倒しで、令和2年3月期に添付書類等、一部電子申告を実施する予定です。その際に生じた論点や気づき等々について、子会社の方々と共有できればと考えております。

【森田】弊社は2月決算ですので、令和4年2月期に電子申告義務化が適用されますが、同様のスケジュール感で、1年前倒しで添付書類を含めた電子申告のトライアルを実施したいところです。

既に、電子申告を採用していない子会社に対し説明会を実施して、電子申告の簡単な概要の説明と電子証明書を取得するまでの流れを説明しました。システム操作等の細かい話というよりは、まずは電子証明書を取得して電子申告の導入をするように説得しました。そのあとは個別に子会社の担当者をフォローしている状況です。

今後はまず、グループ全体の勘定科目等の統一フォーマットの導入を優先して実施することで、添付書類のデータ変換を事前に試していきたいと思っております。

【栗田】弊社でも、定期的にグループの税務担当者に対して研修を行っており、税制改正のポイント等について実施しています。その中で電子申告義務化への対応も含めて研修していきます。まずは、国税庁指定勘定科目への変換フォーマットを作成し、それに基づく対応方法の説明会を実施した後に、個別に各社のフォローをしていくことになろうかと思います。

【長谷川】電子申告義務化の本番に備えて、だいたい今年の夏ごろからは、添付書類のデータ変換を含めた電子申告の準備を進める方向ということですね。

電子申告義務化対応というと“義務化”という名称から、納税者に強い負担を強いるイメージがあると思いますが、電子申告の導入は、グループ全体の作業効率を改善させるチャンスでもあります。そのためには、申告前にトライアルを実施する等、電子申告を事前に実践し、漏れのないよう準備することが必要です。TKCシステムなら、電子申告への対応はもちろんのこと、申告業務の負担軽減とコスト削減を実現させることができます。


株式会社TKC

株式会社TKCでは、資本金1億円超の電子申告義務化対象法人向けに法人電子申告システム(ASP1000R)と連結納税システム(eConsoliTax)を提供しております。
現在、国内の年商トップ100社のうち87社でシステムを利用して頂いており、全国59万社のお客様の電子申告実践を支援しています。

【期間限定】お問合せ特典として、貴社の電子申告取組状況を"簡単"に判定し、結果を踏まえた電子申告を支援するツールを提供しています。

電子申告義務化:準備状況の簡単判定はこちら

現在、注目を集めている"添付書類の電子申告"に関して、短時間で確認可能な専用動画"財務諸表編(5分)"と"勘定科目内訳明細書編(8分)"も用意しております。是非この機会にご確認ください。

【お問合せ先】
株式会社TKC 電子申告義務化支援グループ フリーダイヤル:0120-786-328
戸島(としま)、髙田(たかた)、次田(つぎた)

座談会開催日:令和2年2月21日
[PR] 制作:税務研究会企画広告チーム
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