ブックタイトル消費税の誤りやすい届出・申請手続の実務対応

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概要

消費税の誤りやすい届出・申請手続の実務対応

第2編 事例検討(ケース・スタディ)―51―〔事例5 〕 過去に提出された「簡易課税制度選択届出書」の効力事例の概要 A社は金属製品を製造する設立30周年を迎える株式会社である。関与税理士乙は2 年程前からA社への関与を開始したが、関与前4 ~ 5 年間におけるA社の消費税申告については、原則課税により行われていたことから、A社が簡易課税の選択を過去にしていることについては、全く知らなかった(A 社は消費税導入当初より簡易課税を選択していたが、その適用が基準期間の課税売上高が5,000万円以下に引き下げられたことに伴い、最近は原則課税が適用されていた。)。 税理士乙は、A社が、新しい工場へ移転すること及び新しい得意先を獲得するために新しい機械の導入が必要であることなどの説明や相談をX06年中に受けており、翌期・X07年に新工場移転に伴って高額な機械の購入を行うことの説明も受けていた。 1 年ほど前からA社の売上高が急激に落ち込み、前年・X05年(翌期・X07年の基準期間)の課税売上高が5,000万円以下となっていたことを税理士乙は当然に認識していたが、A社が過去に簡易課税制度を選択しているとは思いもせず、翌期・X07年の課税方式も原則課税が適用できるものと思いこんでいたため、X07年の課税期間は設備投資による消費税が還付される見込みであるとの説明をしていた。 X07年の確定申告時期を迎え、所轄税務署より送付されてきた消費税の申告書が簡易課税用になっていたことから、税理士乙はその時に自分の犯したミスに気付いた。この結果、A社の社運をかけた工場の移転や