ブックタイトル合同会社の法務・税務と活用事例

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概要

合同会社の法務・税務と活用事例

第3章 合同会社の会計103地があろう。また、一定の業種・業態・規模・株主構成等を有する企業のほとんどでなくても、ある程度の割合の企業が採用している会計処理方法も「慣行」であると考えられる。 学説においては、「公正な会計慣行」は複数存在する可能性はあると解されている。企業は、自己の属する業種・業態・規模・株主構成等を有する企業にとっての「公正な会計慣行」に従う必要があるが、それが複数存在する場面においては、そのうちの1つを選択するという状況が生じ得る。2. 会計帳簿(1)会計帳簿の作成および保存 合同会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない(会社法615条1項)。合同会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿およびその事業に関する重要な資料を保存しなければならない(同条2項)。 合同会社の作成すべき計算書類は、会計帳簿に基づき作成しなければならない(会社計算規則70条、71条3項)。したがって、会計帳簿は、合同会社の計算書類作成の基礎となるものである。 会計帳簿は後日の紛争が生じたときの重要な証拠資料となるものであり、保存期間は10年間とされている。保存期間の起算点は、「会計帳簿の閉鎖の時」とされているが、多数説では決算締切りの時と解されている。 また、「その事業に関する重要な資料」とは何であるかが問題となるが、契約書、発注書、受注書、請求書、領収書、通帳など、将来の紛争に備えて事実関係、法律関係等を証明するために重要な資料であると解される。(2)会計帳簿の提出命令 裁判所は、申立てによりまたは職権で、訴訟の当事者に対し、会計帳簿