ブックタイトル判例裁決から見る加算税の実務

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概要

判例裁決から見る加算税の実務

国税通則法65条《過少申告加算税》6第1章【2】 納付すべき税額〔ポイント〕 通則法65条は、「納付すべき税額」を基礎として過少申告加算税を課すと規定しています。この文言のみを忠実に考えると、還付申告において、還付金の額が減少する場合や、そもそも納税義務がない者には「納付すべき税額」が存在せず、過少申告加算税を課すことができないと解することになりそうです。 しかし、裁判所は、消費税の納税義務がない者が課税事業者選択届出書を提出して還付申告をした場合や(事例3)、還付金の額が減少する場合にも(事例4)、過少申告加算税は課せられると判断しています。《事例3》 消費税課税事業者を選択した者の還付申告は過少申告加算税の対象となるとした事例 ×(福岡地裁平成7年9月27日 税資213号728頁)〔事件の概要〕 本件は、消費税の課税売上が零円で課税売上割合が0%であるにもかかわらず、調整対象固定資産の仕入に係る消費税額を全額控除して還付申告をした納税者(甲)が、その還付請求を否定された上で、更正処分等がされた事案です。 甲は、課税資産の譲渡がなく消費税の納税義務がなかったのだから、還付金額の減少に対応する消費税額はないということ、また、更正処分によって還付請求が否定されただけで、消費税につき「納付すべき税額」が新たに発生するものではないから、通則法65条1項の「納付すべき税額」は存在しないと主張しました。しかし、裁判所はこれらの主張を認めませんでした。