ブックタイトル判例裁決から見る加算税の実務
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判例裁決から見る加算税の実務
3 通則法65条4項19 甲は、相続税の課税時期には当該還付金に係る還付請求権は発生していないから相続財産に当たらない旨、仮に相続財産であったとしても、公定力(注)を有する所得税更正処分が有効に存続している以上、所得税還付請求権は法的に存在しないために相続財産として申告しなかったのであるから、「正当な理由」がある旨を主張しました。審判所は、本件の還付金は相続財産に該当すると判断した上で、正当な理由を認めて過少申告加算税を取り消しました。(注) 公定力 行政行為が持つ形式的な効力のことで、行政行為は、当然無効と認められない限り、たとえ違法であったとしても、権限のある機関によって取り消されるまでは有効であるということ。判断の要旨 課税庁は、Aに係る相続税の申告時点において、訴訟を通じて所得税の各更正処分等は適法である、すなわち、甲に対して還付されるべき金額はないと主張していたのであり、このような状態において、課税庁は、甲に対して本件過納金の還付を求める権利を相続財産として申告することを予定しておらず、また、甲においても、本件過納金の還付を求める権利の適正な金額を正確に判断し、申告することは困難であると認められる。 したがって、上記(法令解釈)のとおり、過少申告加算税は、申告秩序の維持を図るため、適法な申告をしなかった納税者に対して課されるものであることもかんがみれば、上記のような場合は、納税者に対して過少申告加算税を課することは酷となる場合に該当し、通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められる場合」と認められる。