ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務

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概要

海外寄附金と移転価格税制の実務

は じ め に 近年、少子高齢化、産業の成熟化に伴い各業界における日本のマーケットが縮小傾向にある中、企業の発展のためには需要の旺盛な新興国を中心とした海外市場に軸足をシフトする動きが加速しているものと思われます。大企業だけでなく、設立初期段階にある企業や、IT・サービス関連企業などの新興企業においても海外法人を設立するケースが増えてきており、また、日本企業の海外売上高割合は増加する一方であるため、海外取引をめぐる国際税務への対応は、今後より重要になってくるものと思われます。 国際税務の中にも、各種の論点がありますが、恒久的施設(PE)や源泉税などの問題については基本的に海外子会社所在国の国内法又はその国と日本との租税条約で定められた事項に対応していくことになります。一方で、移転価格税制については、明確に定められた規定に従った取扱いをするというよりは、「グループ間での取引価格を独立企業間、第三者間での状態になるように設定する」という独立企業原則と呼ばれる概念に基づいて取扱いを検討するものであり、設定の方法については各企業の活動実態に合わせて個々に検討していく必要があることから、その対応は困難を極めています。特に移転価格税制は、実務が税法よりも先行している面が強く、税務調査や相互協議での議論の結果をもとに規定が定められていっているように思われます。そのため、公表された法令や事務運営指針だけでは実務への対応は不十分であることが否めません。 これまで海外取引に関する国際税務といえば、移転価格税制への対応に主眼が置かれてきており、寄附金課税の問題については比較的軽視さ