ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務

ページ
15/24

このページは 海外寄附金と移転価格税制の実務 の電子ブックに掲載されている15ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

海外寄附金と移転価格税制の実務

第2 章 移転価格税制と寄附金規定の課税対象15譲受するような場合も、その譲渡対価によって両国の利益配分は変わってきますので、課税対象となります。近年では子会社株式の譲渡において移転価格課税を受けるケースも出てきており、関連者間での全ての資産の売買取引は課税対象となることを認識する必要があります。 さらに、グループ内での役務の提供として、出張や出向による支援や、本社から子会社に対する経理の代行や人事の代行などの管理サービスの提供についても、その対価の妥当性に関して移転価格課税の対象となります。対価を全く回収していない場合には当然課税対象となりますが、対価を回収していても算定根拠が不明な場合や、対価が高すぎる場合などは海外子会社側の税務調査で損金否認を受けるケースもありますので注意が必要です。 最後に、「その他の取引」として全てを包含しておりますので、融資に係る金利や債務保証に伴う保証料、無形資産の供与に係るロイヤルティや設備の賃貸など、国外関連者との取引があれば、その価格設定から両国の利益の歪みが生じることから、基本的に事業上の全ての取引が課税対象となります。 ただし、配当については、あくまで投資・出資への利益の還元であり、事業上の取引とは別であるため、移転価格税制の対象とはなりません。逆に言えば、いくら配当を回収していたとしても、子会社から対価を得ているという説明にはつながりません。③ 独立企業間価格となっていない場合 移転価格課税は、グループ間取引による取引価格の操作や価格設定のズレによる海外への利益移転について追徴課税を行う税制ですが、そもそもの「適正な価格」の基準となるのが「独立企業間価格」です。海外子会社への販売価格が独立企業間価格に満たなければ、その分、売上・収益の計上漏れとなり、逆に仕入・支払の金額が独立企業間価格より高すぎれば費