ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務
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海外寄附金と移転価格税制の実務
16 用の過大計上として日本の利益・所得が圧縮され、その分税金が「申告漏れ」となります。それが調査で発覚すれば追徴課税がなされることとなります。 移転価格税制での基本的な判断基準は、この「独立企業間価格」という概念にあり、グループ間での取引価格を、独立企業間で成立する価格で設定しなければなりません。海外ではArm's Length Price(近すぎず腕の長さほどの距離間のある関係での価格=独立企業間価格)と言い、世界的に共通の基準となっています。 移転価格税制は、国境を越えたグループ間での所得配分を司る税制であり、取引相手国との関係もあることに加え、企業の活動内容や取引される製品も様々であることから、全ての取引価格について画一的に計算方法を定めることが困難です。そのため、全ての国、企業にとって公平な課税を行うために「独立企業間価格」という概念を設定し、それに従って各種取引の価格を実態に即して検討することで国家間の税の配分、すなわち移転価格税制は成り立っています。 移転価格税制において定められている移転価格算定方法は、この独立企業間価格を算定するために設けられており、その算定結果と実際の取引価格との間に差があれば、その差額を追徴課税することとなります。 この「独立企業間価格」が、容易かつ明確に算定できれば問題は起きないのですが、製品の内容によって取引価格はさまざまであることはもちろん、市場の状況や、売り手と買い手の活動内容によっても、独立企業間において取引価格は変動します。そのため、グループ間取引に係る「独立企業間価格」の解釈には幅があり、算定を行う者によって答えが変わることもあり得ます。課税の取り漏れを防ぐ税務当局と余分な税金を納めたくない納税者、国境を挟んだ国同士の利益の取り合いなど、利害の異なる者の間では意見が食い違うケースも少なくなく、移転価格の問題は、さまざまな関係者との間で生じます。場合によっては、グループ間でも、親会社と