ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務

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概要

海外寄附金と移転価格税制の実務

18 2-2 寄附金規定の課税対象 一般に「寄附金」とは、財産等を贈与することをいい、当事者の一方(贈与者)が無償で一定の財産を相手方(受贈者)に与える意思を表示して相手方がこれを受諾することにより成立する契約といわれています(民法549)。税務上の寄附金の考え方も基本的には同じではありますが、税務上の寄附金は、金銭・資産等の無償贈与のほかに、役務提供の無償供与、さらには、低廉譲渡、高価買入れ、債権放棄、債務免除等も含まれることから、一般的にイメージされる寄附金よりは広くとらえられています。 通常、利益の最大化を目的とする法人であれば、直接又は間接的に利益の向上につながるものでなければ支出を行わないものと考えられます。法人税は、各企業が事業活動を行った結果として獲得した利益・所得に対して公平に課されるべきものであり、もし事業活動と関係のない支出を費用として認めてしまえば、所得の操作が可能となり、課税の公平性は失われ、租税回避行為を許容してしまうこととなります。そのため、反対給付を目的とせず経済合理性のない支出については損金として認めないこととされています。 なお、国内取引に係る寄附金について所得規模又は資本金に応じて一定の寄附金の額については損金算入を認めていますが、平成22 年度の税制改正から、100%の持分を有する完全支配関係のある内国法人に対して支出した寄附金については、全額損金不算入とするとともに、当該寄附金の贈与を受けた法人ではその受贈益は全額益金不算入となっています。また、国外関連者に対する寄附金についても、全額損金不算入となっています。