ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務

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概要

海外寄附金と移転価格税制の実務

れてきました。この背景としては、過去において海外取引への課税の中心が大企業に対するものであったこともあり、課税金額の規模も大きかったことから海外取引にあたっては取引規模の大きい棚卸資産取引やロイヤルティ取引について移転価格課税を回避することが急務とされてきました。一方で寄附金の問題は、出張支援やグループ間役務提供取引に係る対価の未回収など、棚卸資産取引やロイヤルティ取引と比べると小規模であり、大企業の課税リスクとしては相対的に大きくなかった面があります。そのため、寄附金課税への対応は、大企業としても我々専門家としても、過去においては主要な論点となってこなかったように思われます。 しかし、近年では中小・中堅の海外取引法人への調査及び課税が増加する中、比較的小規模な取引に対する課税が急増しています。特に、未整備となっていたグループ間役務提供等への課税機会が増えてきています。そのため、長い調査期間を費やして大型の移転価格課税が行われる一方で、簡易な移転価格課税や寄附金課税を行うケースが多くなってきています。企業担当者からも、近年では寄附金に関する質問が増えてきているように感じています。そうした中で、移転価格の問題と寄附金の問題は、同じグループ間取引に関するものであるにもかかわらず、両者について本格的に論じた書籍が少なかったことから、本書を執筆することとしました。 グループ間取引をめぐる問題は、各企業やそれぞれの事業内容、取扱製品の内容によってさまざまであり、前提条件が変われば課税判断も変わってくることから、グループ間取引価格の設定や移転価格文書化資料の準備については引き続き慎重に対応していくことが望まれます。海外グループ間取引の金額も増加の一途をたどる中、移転価格に係る潜在的