ブックタイトル海外寄附金と移転価格税制の実務

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概要

海外寄附金と移転価格税制の実務

第2 章 移転価格税制と寄附金規定の課税対象21給付(対価)を伴わない役務の提供や技術供与など、有形・無形を問わず経済的価値のある資産・役務について全ての取引が対象になります。③ 経済合理性のある贈与又は無償の供与は除かれる 寄附金の額のうち、「(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。)」と規定されている通り、経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合でも、間接的に反対給付を伴うものであれば、経済合理性のある取引として損金算入が認められています。これは、メーカーが販売代理店に対して広告宣伝費を負担することや、見本品の贈与をすること、取引先の接待を行うことは、直接的な反対給付を伴わないものの、製品販売の増加により利益を獲得することにつながり、間接的な反対給付を得られることから、第三者間においても行われる行為であり、必要経費として認められています。また、福利厚生費として従業員の動機付けのために供与する物品等についても、従業員の満足感や士気を高めることで、離職率の低下や売上の向上により利益の獲得につながるものであることから、損金算入を認めているものと考えられます。 ただし、こうした名目による支出であったとしても、社会通念上異常な金額の供与や経済合理性を欠くような性質の支出については、これらの費用と「されるべきもの」の範囲から逸脱することとなり得ますので、際限なく広告宣伝費等の負担が寄附金の額から除外されるわけではないということに注意が必要です。 また同様に、子会社等を整理・再建する場合の損失負担についても、寄附金の額から除外されています。景気の後退期などにおいては、海外子会社が業績不振となり経営危機になることが想定されます。そのような場合、親会社にとっても子会社が倒産することは連鎖倒産や重大な損失を蒙る可能性があることから、再建支援を行うことが親会社の利益につながること