逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント page 12/32
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逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント
3の研究を行なうかは、その者の選択の問題である。 規範的選択というものは、規範的選択を行なう者の価値基準に依存するものであり、規範的選択について「真」と「偽」を論ずることはできない。しかし、どのような価値基準が社会の中に存在し、どのような体系を構成し、またどのような経済的・社会的あるいは政治的諸条件がどのような価値を優先させるかなどを、現実主義的なアプローチにおいて探求することは可能であると思われる。2 判例の法源性 法源とは、法命題の発生原因をいい、憲法は、裁判官が「憲法及び法律にのみ拘束される」旨を規定しており、憲法に根拠をもつ規範だけが裁判官を拘束する法であることを明らかにしている。 もっとも、国家の組織規範による法源の指示は不十分であり、結局は法妥当の究極の根拠を勘案しながら、解釈によって、法源の種類と序列を確定するほかない。 そして、判例が法源であるか否かについては、見解は一定していない。 わが国では、英米法におけるような判例拘束の原理はなく、法律は下級審が当該事件の上級審の判決に拘束される旨を規定するにすぎない(裁判所法4 )。 判決が現実に判例(先例たる判決)として後の判決に対して、何らかの影響を及ぼすという事実に着目して、判決の先例的性質やその限界を明らかにすること、さらにそれを通して将来の判決を予見することに関心を有する者にとっては、判決の内容そのものが関心事となる。 したがって、そのような関心を持つ者にとっては、何らかの意味で、また何らかの程度で、判決が後の判決に規定的影響を及ぼしているという事実が問題であり、そのような現実的現象の局面での判決の拘束力の内容が問題となる。 判決によって、具体的な一回的な紛争に対して一回的な決定がなされると同時に、そのことを通じて、その判決が「先例」として「具体的裁判規範」を社会に示すという実際の事実、および、それゆえに後の裁判がその先例的裁判規範に従って決定を下すという現実の事実が、判例が拘束力を有すると