逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント

逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント page 24/32

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逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント

Ⅰ 居住用財産の譲 渡   15【争  点  ①】しあって、当該譲渡につき旧措置法35条1 項を適用し得ると解される。 そして、上記に述べたところは、取り壊された家屋が共有物であったとの一事をもって、直ちに異なって解すべき根拠は見当たらない。ても、所有者がこれを区分したときは、その区分した建物の所有権の譲渡は許されるというべきであり、また、共有建物にあっては、共有建物を分割し区分所有建物として譲渡する場合や、共有持分自体を消滅させるような場合を想定すると、一棟の建物のうちの一部の譲渡であっても、これがその敷地部分の譲渡との関係で単独所有建物の譲渡ないしは取り壊しと同視できる場合があるというべきであって、そのような場合には、旧措置法35条1 項の要件に該当すると解すべきである。 原告(長女)は、原告(長女)と丁(兄の妻)との間の共有物分割の合意により、本件建物が本件家屋部分と本件残存家屋部分とに現物分割され、原告(長女)が本件家屋部分の所有権を取得してその全体を取り壊し、他方、兄の妻が本件残存家屋部分の単独所有権を取得した旨を主張するが、本件建物の構造等からすれば、原告(長女)と丁(兄の妻)との合意をもって直ちに本件家屋部分と本件残存家屋部分とがそれぞれ別個の所有権の客体になると解することはできない。 当事者間の合意としては、一棟の建物の一部についてその所有権を移転することは可能というべきである。【争 点 ②】 【争点①】について原告(長女)の主張は採用できないから、【争点②】については判断するまでもない。 旧措置法35条3 項が規定する「やむを得ない事情」とは、天災その他本人の責めに帰すことができない客観的事情があって、居住用財産の譲渡所得の特別控除の制度趣旨に照らし、納税者に対して、その適用を拒否することが不当又は酷となる場合をいうものと解するのが相当である。