逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント page 29/32
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逆転裁判例にみる事実認定・立証責任のポイント
20 判例各論6 原告(長女、一審で敗訴し控訴)の主張? 地方裁判所内での原告と被告の主張原告(長女)の主張被告(課税庁)の主張【争 点 ①】 原告(長女)及び丁(兄の妻)は、遅くとも平成16年5 月ころまでに、本件家屋部分を取り壊して本件土地を更地として譲渡することを可能とするため、丁(兄の妻)が本件家屋部分を取り壊すことに同意するとともに、原告(長女)が丁(兄の妻)に本件建物の持分4 分の1 を譲渡する旨の合意をした。そして、この合意に基づいて、同年6 月末から同年7初めころまでの間に、本件家屋部分が取り壊され、そのころ、本件建物の持分4 分の1 が丁(兄の妻)に譲渡されたところ、遅くとも本件家屋部分が取り壊された時点で丁(兄の妻)が上記合意に基づいて本件残存家屋部分の単独所有権を取得した。 本件建物に係る原告(長女)の共有持分4 分の1 は、本件建物の全体に及んでいるのであり、原告は、本件家屋部分の取壊後も本件残存家屋部分の持分4 分の1 を有していた。したがって、本件家屋部分の取り壊しにより原告(長女)の居住の用に供している家屋の全部を取り壊したことにはならない。? 地方裁判所内での原告の主張と裁判所の判断原告(長女・控訴人)の主張地方裁判所の判断【争 点 ①】 原判決は、「本件家屋部分が取り壊された時点で丁(兄の妻)が当然に本件残存家屋部分につき単独で所有権を有することとなるとする合意等がされたことを認めるに足りる証拠はない。」との事実認定を行った。しかし、本件建物の一部を取壊し、残存家屋の単独所有権を丁(兄の妻)が取得することについて、事前の合意があったことは、多数の証拠が存在するうえ、その事実の存在を否定 本件の事実経過の下においては、本件家屋部分の取壊し後も本件残存家屋部分につき原告(長女)が持分4 分の1 を有し、これを丁(兄の妻)に贈与したと評価される。 また、本件建物の各登記の状況からすると、本件家屋部分が取り壊された時点で丁(兄の妻)が当然に本件残存家屋部分につき単独で所有権を有することとなるとする合意等がされたことを認めるに足りる証拠は