税務サンプル|平成29年版 わかりやすい法人税

税務サンプル|平成29年版 わかりやすい法人税 page 14/20

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税務サンプル|平成29年版 わかりやすい法人税

141法人税とはどんな税金かこれは,法人の性格に対する考え方の違いからくることですが,大きく分けて2つあります。専門用語の豆知識<法人>法人税では,会社を法人といっています。会社は,会社として設立登記がすむと,法律によって「法人」という人格が与えられます。法律上は,人間と同じように,権利能力を与えられるので法の人で「法人」となるわけです。なお,「法人」についての詳しいことは17ページ参照。その1つは,法人は個人とは全く独立した性格であり,法人自体が経済取引をする権利能力をもっているという考え方です。この考え方に立てば,法人自体が支払能力をもつものであるから,法人にもうけがでたらこれに課税し,もうけの一部を株主である個人に配当したら,その株主の配当所得にも課税するということになります。もう1つは,法人はたしかに経済取引の主体とはなるが,要は株主等の集合体であり,法律によって人格を擬制的につけたにすぎないという考え方です。この考え方に立てば,法人の利益は,いつかは株主等である個人に帰属することになります。そのため,法人のもうけに対しては税金をかけないで,利益が株主等のフトコロに入った段階で,税金(個人所得税)を課税すればよいという主張がでてくるのです。前者の考え方を,法人実在説,後者の考え方を,法人擬制説といいますが,わが国の法人税法は,どちらかというと後者に近い立場をとっています。では,法人擬制説の立場をとっているわが国に,法人税という税金がかかるのはなぜなのでしょうか。それは,「法人税は,株主等に対する個人所得税を,法人の段階で一部前取りしているものである」という考え方があるからです。この考え方に立てば,法人が株主等に支払う配当は,その法人があげたもうけに法人税が課税された残りの利益からされるので,その配当を受け取った株主等に個人所得税をかければ,二重課税という問題が生じます。