ブックタイトル税務サンプル|債権法改正と税務実務への影響

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税務サンプル|債権法改正と税務実務への影響

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税務サンプル|債権法改正と税務実務への影響

10れに対して,詐欺にあって契約を結ばされた場合には,被害者だけがこれを取り消すことができ(民法961,1202),詐欺に気づいてから5年間のうちにこれを行ってはじめてその契約は遡って無効ということになります(民法121,126)。ただ,錯誤の規定に書かれている「無効」は,通常いわれるところの上記の無効とは1つ異なる点があります。それは,誰がその「無効」を主張できるのか,という点です。通常,無効といった場合,錯誤に陥った当事者に限らず当事者以外の第三者であってもそのことを主張できると理解されています。しかし,錯誤の「無効」主張については,錯誤に陥っていた当事者が無効の主張をする意思がない場合であれば,当事者以外の第三者は,「無効」の主張はできないと解されています(最判昭和40年9月10日民集19巻6号1512頁)。というのも,錯誤に基づく意思表示が無効とされるのは,その意思表示を行った当事者が思わぬ不利益を被ることから保護するためであって,その当事者自身があとから錯誤であることを主張することを潔しとせず,今のままで構いませんと考えているときにまで直接の関係のない第三者に無効といわせる必要はないからです。原則的には,錯誤に陥っていたものだけが意思表示の無効を主張できる点は,「無効」ではなく「取消し」に似ています。そのため,錯誤の無効は,取消的無効である,と理論的には整理されています。以上のような取扱いは,条文には記載されていません。すべて錯誤の条文の趣旨から,解釈によって導かれてきた結論です。このあたりの書かれざる要件や効果は法律家には当たり前となっていることですが,一般の方が民法の条文だけを読んでここまで解釈して読み込んでいくことは困難です。判例付きの条文集が市販されているのも,このあたりに理由があります。ただ,実際の実務の運用と条文そのものか