ブックタイトル税効果会計の実務がわかる本

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概要

税効果会計の実務がわかる本

1制度化された税効果会計3しかし,近年の税制改正による税務上の引当金制度の廃止などで,会計上の利益と税金額がうまく対応できなくなってきていることから,中小企業においても決算上の利益確保のために税効果会計を採用する企業が増えています。さらに,子会社が非上場企業であっても,親会社が上場企業でその子会社が連結の範囲に含められる場合には,子会社の税効果会計の適用の問題が生じます。この場合,次の二つの方法が考えられます。1子会社が個別決算で税効果会計を行う。2子会社は個別決算で税効果会計を行わず,親会社が連結決算書作成の過程で,子会社の個別財務諸表を修正して税効果会計を行う。2の方法の場合は,子会社は法人税の申告書の別表等の資料を親会社に提出するだけですので,子会社の事務上の負担はさほど大きくありません。一方,1の方法の場合,子会社自身が税効果会計を行うわけですから,税効果会計の内容や会計処理をよく理解し,決算時に必要な仕訳を行わなければなりません。しかし,企業グループで考えると,連結決算の作業を分散化でき,親会社の負担が軽くなります。そもそも,会計的には税効果会計は望ましい処理であり,また,税効果を適用すると子会社の税引後の利益や自己資本が増加するケースが多いという利点があり,実務上も,1の方法を採用する企業グループが多いようです。このように,税効果会計は,わが国の制度会計に幅広く採用されるようになりました。