税務QA 2016年10月号

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概要:
税務QA 2016年10月号

連載第80回仮装経理と税務の諸問題-3~過年度遡及会計基準に基づく修正経理と税務の取扱い~税理士齋藤雅俊パートナー萩原利典参考法法129国税庁『法人が「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を適用した場合の税務処理について』(法人課税課情報第3号、審理室情報第1号、調査課情報第1号)・問1、問8企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」当社(以下「X社」といいます。)は、土木工事業を営む非上場の中堅企業です。県や市などが発注する、いわゆる公共事業をどれだけ受注できるかによって、業績が大きく左右されます。平成25年9月期において、業績が極端に悪化したことから、いわゆる粉飾決算を行いました。赤字決算を組むことによる銀行取引や公共事業の入札などへの悪影響を懸念した、苦渋の決断でした。具体的には、架空の売上1,000と架空の仕入600を計上しました。(借)(貸)売掛金1,000売上1,000仕入600買掛金600それによって、所得を確保し、法人税などの納付も行いました。幸いにも、その後は税務調査もありませんでした。そのため、現時点までに上記処理の修正は行っていません。したがって、実在しない売掛金や買掛金がB/Sに計上されたままになっていて、その処理が懸案となっていました。そんな中、今期(平成28年9月期)の業績はかなり順調で、多額の利益が計上できる見込みです。そこでX社では、今期決算で次の処理を行うことを検討しています。(借)(貸)過年度損益修正損1,000売掛金1,000買掛金600過年度損益修正益600上記処理の狙いは、次の通りです。・B/Sに計上されたままになっている実在しない売掛金と買掛金をB/Sから消去する。・今期の所得金額の計算において、過年度損益修正損(差引400)を損金に計上し、平成25年9月期に実質的に過大納付の状況となっている法人税額相当分を、今期の納付すべき法人税額から控除する。X社の上記処理に関して、新人経理マンには、以下のような疑問が生じました。・いわゆる「過年度遡及会計基準」が導入されたことから、上記のような会計処理を行うことは認められないのではないか・仮に上記のような会計処理が認められたとしても、過年度損益修正損(差引400)は、はたして今期の損金となるのか8月号では、以下の事項について説明を受けました。・仮装経理とはどのようなことか・仮装経理やそれに伴う過大納付の是正に関して、法人税では二つの特例(更正の特例と還付の特例)が定められていること・二つの特例のうちの更正の特例に関する詳細な取扱い9月号では、仮装経理に伴う過大納付法人税額の是正をどのように行うかについて説明を受けました。そこで今月号では、次の事項について説明を受けることになりました。1過年度遡及会計基準に基づく修正経理とはどのようなものか2過年度遡及会計基準に基づく修正経理に関する税務の取扱い52zeimu QA 2016.10