税務QA 2016年10月号

税務QA 2016年10月号 page 8/16

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税務QA 2016年10月号

Selection Q&AC A S E2取引相場のない株式の譲渡価額公認会計士・税理士都井清史UESTION立場により異なる適正な時価このたび当社(A社)では、当社が保有する自社株式を取引銀行であるY銀行へ譲渡する予定です。Y銀行と当社とは預金取引のみであり、借入はありません。当社は非上場の同族会社であり、この譲渡は取引相場のない株式の譲渡に当たります。この譲渡における適正な時価とは、どういった価額になるのでしょうか。ちなみに、譲渡する株式数は発行済株式総数の3%程度です。また、当社の経営とは無関係の少数株主である個人から、当社の持株会社に対する株式の譲渡も予定しています。この株式を配当還元価額で譲渡した場合の課税関係についても教えてください。参考相法9評基通178、179188、188-2法法222法基通4-1-69-1-14所法591二所令169所基通59-6東京地裁平成19年1月31日判決(平成17(行ウ)199、TAINSZ257-10622)1取引相場のない株式の譲渡価額ここでは取引相場のない株式に関して、売買を行う場合の適正な時価とは何かについて見ていきましょう。(1)相続の場合まず相続の場合には、相続税法の規定に従い、取引相場のない株式について原則的評価方法が適用される「同族株主等」にとっての評価が規定されます(評基通178、179)。これに該当しない場合には、特例的評価方法が適用される「同族株主以外の株主等」にとっての評価(評基通188、188-2)の規定によることになります。なお、特例的評価方法が適用される「同族株主以外の株主等」とは、具体的には以下の株主を指します(評基通188)。(1)同族株主のいる会社における同族株主以外の株主(2)同族株主のいる会社の同族株主のうち、中心的な同族株主がいる場合で、中心的な同族株主や役員に該当せず、かつ、保有議決権割合が5%未満である株主(3)同族株主のいない会社における保有議決権割合の合計が15%未満の株主グループに属する株主(4)同族株主のいない会社の保有議決権割合の合計が15%以上の株主グループに属する株主のうち、中心的な同族株主がいる場合で、中心的な同族株主や役員に該当せず、かつ、保有議決権割合が5%未満である株主(2)売買の場合1純然たる第三者売買の場合は、まず先に純粋に経済合理性のある、市場経済原理に基づいて売買価額が決定される「純然たる第三者」が規定されます。純然たる第三者とは、資本関係、取引支配関係、人的支配関係のいずれもない場合をいい、M/A等で会社を売買するケースなどが純然たる第三者との売買に該当します。その場合の株価は、対等な立場での交渉(せめぎあい)がある限り、仮に相続税法上の評価額とは異なる価額であっても一般に常に合理的なものとして是認されます(この「一般に常に」は二重肯定といわれています。)。2非支配関係株主1に準ずる形で、次にこれも市場経済原理(配当期待)に基づいて売買価額が決定される少数株主(非支配関係株主)が規定されます。40 zeimu QA 2016.10