法人税基本通達逐条解説

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税理士、村木慎吾氏・米津良治氏のPodcast配信はこちらからお聴きいただけます。

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実務家の対談を読む

米津 良治先生
米津 良治先生
BASE(ベイス)総合会計事務所 代表税理士

上智大学法学部卒業、平成26年ファーサイト会計事務所(現、税理士法人ファーサイト)入所。平成28年税理士登録。税理士法人ファーサイトにて役員就任、法人や不動産オーナーの税務顧問、相続/事業承継のコンサルティングに従事し、令和2年10月にBASE(ベイス)総合会計事務所を東京都千代田区に開設。
主な共著書に「会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本」(ダイヤモンド社)、「うっかりミスにご注意を! Q&A消費税の税務処理80」(清文社)「できる税理士は知っているこれならうまくいくクラウド会計」(第一法規)などがある。

2023年7月に刊行された『十一訂版 法人税基本通達逐条解説』。
本書籍の価値や必要性について、
実務家目線でお二人に語っていただきました。

改訂版が出るたびに、買い替えた方が良い理由とは?

米津:では早速質問になりますが、税務研究会の『法人税基本通達逐条解説』、略して「法逐」をお持ちですか?
また過去のものはどのくらい古い版までお持ちですか?ということですけれども。

村木:私は五訂版から置いていますね。

米津:五訂版から毎回買い替えていらっしゃるんですか?

村木:そうですね。それは必要だと思うんです。
ご存知の方は少ないかもしれませんが、平成27年の東京地裁で、分割支給の分掌変更退職金について争われたんですが(平成27年2月26日判決・平成24年(行ウ)第592号)、基本的に一括支給しか認められない分掌変更退職金ですけど、理由はちょっと割愛しますが、納税者側が勝ったんです。つまり分割支給が認められたと。基本通達では原則として一括支給と書いているものが、分割支給が認められたと。
その後、結構すぐだったと思いますけど、『法人税基本通達逐条解説』の解説部分に、その判決内容が折り込まれているんですよね。通達の本文だけ読むとそういうところが出てこないですけど、実務に影響する判決とか裁決とかを、解説部分で折り込んでいるっていうのもあるので、毎回毎回、買い替えた方が私はいいと思うんですけどね。

米津:確かに。解説のところには判例でどんどん補足がされていきますもんね。

村木:そうなんですよね。

実務上、基本となる通達、
通達の趣旨をよく理解するためには「逐条解説」が必要

村木 慎吾先生
村木 慎吾先生
税理士
村木税理士事務所 代表税理士

同志社大学商学部卒業、平成15年税理士法人ゆびすい入社後、平成17年税理士登録。
税理士法人トーマツ(現:デロイトトーマツ税理士法人)勤務を経て、平成21年自身が代表を務める村木税理士事務所を開設。上場企業複数の監査役も務める。
「週刊 税務通信」に大阪勉強会メンバーとして『実例から学ぶ税務の核心』を連載中。
主な共著書に「『むずかしい税法条文』攻略本」(中央経済社)、「事業承継におけるリスク回避の重要ポイント」(大蔵財務協会)、「速報版 税理士が押さえておきたい 民法相続編の改正」(清文社)等がある。

米津:ということでスタッフさんからカンペが出ました。
「法人税基本通達逐条解説」の価値はどこにあると考えられますか?
また話がずれますが、 通達やQ&Aベースで実務が進む昨今に違和感があるとおっしゃる先生も多いのでしょうか?というようなものがありましたけど、村木先生どうでしょうか?

村木:うーんこのカンペの意味は、そうか。
「法律ではないのだから通達を重視するのはおかしいじゃないかという方もいらっしゃいますよね?」ということだと思うんですけど。私の個人的な考えで、異論はあるでしょうけど、実務をやっている以上、通達が基本だと思うんですよね。

米津:そうですね。

村木: 税務当局とうまく調整というか相対しないといけないという意味では、当局が通達を使っているので、それを当然軽視できないなという気がしますし、それを無視して良いというのは実務を知らない人だと思うので、そんな無責任なことは言えないし、通達が基本と私は思うんですけど。 で、『法人税基本通達逐条解説』の価値ですけど、知らない方も結構いらっしゃるのでご紹介しておくと、「※法人税基本通達の制定について」という通達の1ページ目に国税庁長官さんの名前で出ているんですけどね。
※国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/zenbun/01.htm
そこでは、文言で読むんじゃなくて趣旨から解釈しなさいっていうのがちゃんと明示されているんです。それなら逐条解説部分が一番大事と私は思っているので、必須だと思っているんですよね。
価値というか、通達だけを読むと文言による判断になっちゃうので、その趣旨とかを理解するためには『逐条解説』が必要じゃないかっていう立ち位置の税理士です。

米津:これすごく初歩的な質問でお恥ずかしい気持ちもするんですけれども、この『法人税基本通達逐条解説』の逐条解説部分ってどなたがどういう風に作っているんですか?
解説する立場にある人っていうのはどういう方なんでしょうか?

村木:あくまで通達なので行政内だけで運用される文書ですよね。
だからよく学者さんが言う「民間の人たちは通達に従う必要がない」というのはそこにあって、あくまで、中の職員たちがこの通達に縛られるというところなので、間違ってはないんですけど。ということで、通達の解説というのは「国税庁内でこういう解釈をしています」ということの表明なので国税庁さんが作っているんだと理解しています。

米津:そういった意味も踏まえて通達自体、私もやっぱり軽視はとてもできないと思います。
たまに「通達は所詮通達」みたいな言説を見ますけど、それで本当にお客さんを守れるんですかというのはよく思いますし、また、さらに「通達がどういう思想の下で作られているのか?」という『逐条解説』の部分まで実務家としては知っておくべきですよね。

データベース版も同時発売

村木:最後に、分厚い書籍版と一緒にデータベース版が出たようです。
米津先生は聞くところによるとデータベース版をお持ちみたいですけど、実際使ってみてどうですか?

米津:私はやっぱり机の上ででかい本を開くのが苦手なので、オンラインで見られるっていうのは、すごくストレスなく楽ですし、検索というか目次の出し方っていうのが、税務インデックスのデータベース版と同じような形になっているんですけど、非常にサクサクと目的の通達にたどり着けるので使い勝手がいいです。


お二人の対談全編はPodcast「声でとどける税務通信」にてお聴きいただけます。
「データベース版」については、下記の税研オンラインストアのリンクからお確かめいただけます。

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