EY新日本有限責任監査法人 リクルートインタビュー


EY新日本有限責任監査法人
人材開発本部 リクルート責任者 パートナー 公認会計士 須山誠一郎
公認会計士 中村友美
日本公認会計士協会準会員 室橋侑平

<編集部より>
 監査法人の採用担当者と若手の方々に、自法人の強みや、採用に関するポリシー、入所後の感想等を伺う本企画。ここでは、EY新日本有限責任監査法人(以下、「EY新日本」)の須山誠一郎氏(左)、中村友美氏(中央)、室橋侑平氏(右)のインタビューをお届けする。


EY新日本有限責任監査法人

 監査および保証業務、アドバイザリーサービス、税務などの分野における世界的なリーダーであるEYの日本におけるメンバーファームであり、日本最大規模の監査法人のひとつ。財務内容の開示の透明性を確保し、金融・資本市場の健全な発展に尽くすため、「グローバルな経済社会の円滑な発展に貢献する監査法人」を経営理念に掲げ、最先端のデジタル技術を活用しながら、監査および保証業務をはじめ、各種財務関連アドバイザリーサービスなどを提供する。国内17か所に事務所を設置しているほか、海外47か所の拠点に駐在員を派遣。150を超える国と地域、284,018人で構成されるEYのグローバルネットワークや国内におけるEYのメンバーファームと緊密に連携し、企業が直面する経営課題の解決と持続的成長を支援している。

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1.採用ポリシー
──採用に関する考え方をお聞かせください。

須山誠一郎氏(以下、「須山」)
 昨今の監査業界、監査法人を取り巻く環境は大きく変わってきています。監査はクライアントの決算数値の適正性を担保するという職業であり、クライアントの経済活動におけるグローバル化およびデジタル化が急速に進む中、監査手続の中でも、グローバル化やデジタル化というのは避けて通れない環境に置かれているというのが、まず前提としてあります。
 会計士試験に合格したタイミングでその全てが完成されている人はもちろんいません。会計、監査、税務の知識面では基礎的なところはクリアしてきていますが、それプラスアルファのところを、どれだけ法人に入ってから一緒に頑張って研鑽できるかという意味で、積極的なマインド、新しいことにチャレンジできる人を採用していきたいと思っています。試験の合格がゴールではありませんので、あくまでも試験に受かって監査人としてのキャリアのスタートラインに立ったところで、これから一緒に変革の時代を乗り越えていけるかどうかという視点で採用活動を進めています。

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(須山誠一郎氏)

2.EY新日本の強み

──公認会計士試験合格者の方は、どの監査法人に入ろうか非常に迷っておられると思います。ぜひ、強みなどを教えてください

須山
 特徴としては、中長期的に物事を考える点にあると思います。入所される合格者の方のキャリアについても、業務経験、機会、育成など、さまざまな面で5年後、10年後を見据えた制度が整っています。人材育成のなかでもEY新日本が特に力を入れているのが、グローバルとデジタルです。
 それから、Digital Auditは明確に私たちの強みと言えるでしょう。外部の第三者による調査でも、EYの先進的な取り組みは高い評価を受けています。日本でもDigital Auditを担当している部署がありますが、そこで開発した会計仕訳の異常検知ツールは、EYのグローバル全体での表彰制度でチャンピオンに選ばれ、世界各国のEYメンバーファームで導入が進められています。デジタルツールは欧米で開発されたものが、全世界に展開されるケースが多いですが、我々が日本で開発した新しいツールが、世界的にも「これはすごい」と認められた形ですね。
 デジタルについては、開発する側だけではなく、そのツールを使う人のITリテラシーをより一層強化していくことも重要です。例えば習熟度に応じて与えられる「EY Badges」という社内資格認定制度がありますが、これはEYのグローバル共通の仕組みで、アナリティクスやデジタル等、様々な領域の研修を通してITリテラシーを養っていくことができます。
 また、グローバル化への対応として、英語力のさらなる充実を掲げています。具体的にはSkypeを利用したオンライン英会話レッスンや、海外への出向、海外への短期派遣プログラム、その他研修の充実があります。

室橋侑平氏(以下、「室橋」)
 EYでは、EYのグローバルネットワークを構成する各国・各サービスラインから約3,500人が参加する研修が年に1回、米国フロリダで開催されます。日本からも若手数人が参加できるのですが、私はそれに手を挙げて参加してきました。グループワークやディスカッション等ではアイデアや積極性が強く求められるようなプログラムもありました。多様な価値観とバックグラウンドをもつ個々人が同じ課題に取り組むということは中々ありませんので、コミュニケーションの部分では難しくもありましたが、EYの圧倒的なスケールを感じたと同時に、とても新鮮で、非常に良い経験となりました。

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(室橋侑平氏)

3.制度・環境面
──具体的な制度面や働きやすさといった点で、ご紹介いただける仕組みがあれば教えてください。

須山
 働き方改革の波は確かにあり、EYでは様々な制度を導入しています。例えば、働く時間を選べる選択シフト制度や中抜け勤務制度、在宅勤務を利用可能にするためのインフラ整備、繁忙期の法人内での託児所設置等です。これらの制度を整えている人事担当者に聞くと、もうこれ以上は増やせないくらい、バリエーション豊富に揃えている状況です。キャリアは仕事だけではなく、ライフキャリアも含めて考えていますので、例えば同じ人でも一生懸命働きたい時期と、プライベートな時間を大事にしたい時期もあると思います。そういった人生のフェーズに合わせて働き方を選べるような仕組みを導入し、運用面も含めて常に改善していくという点がEY新日本の良さではないでしょうか。非常に多くの職員からも好評との声を得ています。
 幅広い経験を後押しするためモビリティ制度も充実しています。例えば監査法人から外部の官庁や日本公認会計士協会への出向、EY Japan内で税理士法人、トランザクションサービス、アドバイザリーなどのメンバーファームへの出向、さらには国内に限らず海外での駐在などがあります。そして、実際にモビリティ制度を活用している職員が数多くいて、一つのレールに乗るだけではなく、自分自身のキャリアの節目で多様な経験を積めるようになっています。各職員に1人、担当のカウンセラーがいますので、キャリアについても相談することができます。最初の配属先がフィットしたのであればその道をまっすぐ進めば早く色んな経験が積めて良いのでしょうが、必ずしも全員がそうではないと思います。入社後ギャップなどと言われますが、せっかく難しい試験に合格したのに、自分の思いと現実が合わずにこの業界や監査法人を去っていく人を1人でも少なくしたい、というのが私たちの思いです。1年目で見える景色と、3年、4年経ってから思い描くキャリアプランが変わるケースもあります。時間をかけて、何が自分に合うのかを探すことができるところが、EY新日本の特徴でもあり、カルチャーでもあります。
 そして、私たちの特徴として挙げた中長期的な目線に基づく制度として「トレーニー制度」があります。EY新日本で正社員として働きながら公認会計士を目指す制度で、様々な事情で勉強を断念せざるを得ず、一旦は別の仕事に就いたもののやはり公認会計士を目指したいという場合に、この制度を利用して試験に合格をすれば、公認会計士、監査人としての仕事ができる。そのような道を拓いた一つの好事例ではないかなと思います。色々な経験を持つトレーニーの方々が監査チームの一員となることは、既存のメンバーに多様な考え方や気付きを与えることにつながり、長期的に見ればチーム力の向上につながると考えています。

中村友美氏(以下、「中村」)
 私はまさにトレーニー制度を利用して会計士になったのですが、先輩方も試験の大変さをよく知っているため、非常に温かく見守ってもらえたと感じています。合格までは絶対に残業はなく、実務をしながら学べるという点では、試験にもプラスの影響がありました。トレーニーでも真摯に仕事にとりくんでいれば、チームの一員としてきちんと意見を聞いてもらえる環境や風土があると思いました。仕事も、トレーニー期間中はアシスタントのような業務が多いと思われるかもしれませんが、勉強をしながら実務経験を積んでいけば合格後のキャリア形成にもしっかりつながるような業務内容になっています。

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(中村友美氏)

4.入所後の感想
──「強み」のお話と少し重なるかもしれませんが、実際に入所されてみてのご感想を改めてお聞かせいただけますか。

中村 
 キャリアについても話をしやすい環境があります。中長期的な目標から短期的に何がやりたいかということまで、非常に細かく話を聞いてくれますので、例えば私が「税金の調書をやってみたいです」と言ったとすると、「じゃあ、今年からやってみようか」と任せてもらえたりしました。もちろん任せても大丈夫と思ってもらえることは必要ですが、自分自身でやりたいという意思を示すことで道が拓けるということを実感しています。
 また、私は前職が事業会社の経理で連結会計にも携わっていましたので、最初から連結財務諸表の検討を担当させていただきました。入所早々に新人スタッフが連結財務諸表を担当させてもらえる事はあまりないのですが、個人の経験を考慮してアサインしていただいていると感じました。

室橋
 私は通常の合格者採用で入って今2年目ですが、EY新日本の良い点は、上の職階まで風通しがすごく良いところだと思います。先ほどお話があったように一人ひとりにキャリア等を相談できるカウンセラーがつくのですが、カウンセラー以外の先輩や上司にも気軽に相談しやすく、やりたいことを相談すればチャンスがもらえるという環境があると感じています。フロリダの研修も自分で希望して行けることになったので、そういった点も良いところだと思っています。
 私は入所後の1年間で、世界展開している大規模なグローバル企業、中規模のメーカー、伝統的な小売業、上場前の準備段階の企業、上場直後の企業など、さまざまなクライアントを担当させてもらいました。また、海外に親会社がある企業のインバウンド業務というものがあり、日本にある外資系企業の子会社の仕事もしました。親会社は現地のEYが見ていて、その指示に基づいて日本にある子会社の監査をするというものです。このように、1年目から幅広く、色々な仕事を経験できたことが自身の成長にもつながったと感じています。



5.公認会計士試験合格者へのメッセージ
──公認会計士試験合格者へのメッセージをそれぞれいただければと思います。

室橋
 私は、この時期(試験合格後)であれば、あえて何もしない、よく休むことが大事だと思います。いままでずっと試験勉強をしてきているので、何もしないという状態に慣れておらず、何か不安になって、勉強やスキルアップに手をつけなければと焦ってしまうかもしれませんが、働いてからはメリハリをつけることが大切です。休める時に休み、やる時はやるというのを身につけておくこと、受験生の「ずっと頑張る」という癖をなるべく入る前に抜いておくことが必要だと思います。

中村
 私は英語を勉強しようと思っていたのですが、結局何もしないまま終わってしまいました。ただ、何もしないのも、それはそれで経験といいますか、何でもプラスになるのかなと思っています。私はゲームや漫画が好きなのですが、そういうのが好きな会計士って意外と少なくて、クライアントの方が好きだった場合に私だけが話についていけたりします(笑)。海外旅行の話で盛り上がったり、美味しいご飯屋さんを知っていることでお話が弾んだり、自分が毎日経験してきたことはいつかどこかで必ず役に立つと思います。学生時代のわずかな期間でスキルを高めようとしてもそんなに大きな差はつかないのではないかと思いますので、旅行に行ったり、友達と遊んだり、そういった今しかない時間を大事にしてくれたらと思います。

須山
 法人に入ってからいくらでも勉強をする環境が整っていますので、入所後に頑張ってもらえればと思います。学生時代を勉強に捧げてきたのならば、学生時代の青春をもう一回取り戻すぐらいの勢いで、入所までは人生を豊かにする「経験」に時間を充ててほしいと思っています。英語であれば、座学で黙々と勉強するよりは実際に海外に行って自己流でもいいから現地で英語を話す経験をしてくるというような時間の使い方をしてくれたらと思いますね。一方で、実際に入所してからは、会計士を目指す高い志を持って一生懸命勉強をしてきたと思うので、その気持ちは忘れずに、激動の時代、一緒に新しい時代を作っていきましょうというのが、私からのメッセージです。
 

須山誠一郎氏
1997年入社 第4事業部 パートナー
1997年慶應義塾大学商学部卒業後、太田昭和監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)に入所し、2000年以降、グローバルに展開した製造業(米国会計基準採用)を中心に国内上場企業のインチャージを務め、2010年以降、パートナーとして監査責任者を務める。2019年より、リクルート責任者。

中村友美氏
2016年入社 第3事業部 シニア
経済学部経営学科卒業後、エレクトロニクス系のメーカーに就職。財務経理部に配属し、約2年半、経理業務に携わる。その後、監査トレーニー制度を利用してEY新日本に転職。2017年に論文式試験へ合格し、2019年に公認会計士登録。同10月よりシニアへ昇格。

室橋侑平氏
2018年入社 第3事業部 スタッフ
2017年公認会計士試験合格、翌2018年2月学生非常勤として入所。商学部経営学科卒業後、同4月から現在までスタッフとして勤務。第3事業部にて、半導体・測量機器メーカーをメインに関与。