税務用語解説

独立企業間価格の算定方法

 独立企業間価格の算定方法は、法令及び通達において以下のものが定められています。

・独立価格比準法・再販売価格基準法・原価基準法・取引単位利益法・利益分割法

 原則は、この中から状況に応じて最も適切な算定方法を選択することになります。
 平成23年度税制改正前は、「基本三法」と呼ばれる「独立価格比準法」、「再販売価格基準法」、「原価基準法」の三つの方法を優先適用し、これらの方法が適用できない場合のみ、「取引単位利益法」、「利益分割法」の適用が認められていました。しかし、平成23年度税制改正では、この基本三法を優先させる規定は改正され、これら全ての方法の中から、事案に合わせて最も適切な方法を選択するよう改正が行われています。
 しかし、この改正後の事務運営要領3−2では、「基本三法が適用できる場合には基本三法が最も適切な方法である」とされており、実務上の取扱いにはそれほど影響のない改正だったのかもしれません。
 このように、納税者は、国外関連者との取引について、これらの定められた算定方法やこれらに準ずる方法により、最も適した移転価格算定方法を採用し、その結果に基づいて国外関連者との取引価格を決定・調整していくこととなります。
 しかし、商品の取引価格というものは、商品の性質や特徴、ブランド品や価格戦略、販売量、販売先等の取引条件等によって、同じ機能をもつ商品でもその価格は様々です。そのため、最も適した算定方法がどの方法であるかについて税務当局との見解の相違が生じ得るうえ、採用した算定方法について異論が無い場合でも、その計算過程について見解の相違が生じる場合もあります。

 なお、平成31年度税制改正により、一定の無形資産については、DCF法によることも認められることになりました。

【解説者】税理士 村木慎吾
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