税務用語解説

資本的支出と修繕費

 税法上の法定耐用年数は、その固定資産について通常の維持、管理、補修をしながらその資産本来の用途に使用された場合に、通常その効用が持続する期間として定められています。したがって、一般に予定された程度の維持、管理、補修のための費用は修繕費となりますが、これを超える改良等を加えた場合には、資産に追加支出をしたものとして、資本的支出(資産計上)とされます。この資本的支出とされる改良等とは、条文では以下のような規定になっています。

・当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額

・当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額

 つまり、固定資産の価値を高め又はその耐久性を増すこととなる部分の金額が資本的支出であり、固定資産の通常の維持管理のため又はき損した固定資産につきその現状を回復するために支出する金額が修繕費、ということになります。
 とはいえ、具体的にどのように判断すればいいのかが実務では難しい論点となります。このような実務への配慮から、法人税基本通達において資本的支出と修繕費の区分の基準等を設けています。実務では、これを参考に判断していくことになりますが、この通達の取扱いをフローチャートにすると以下のようになります。

 なお、ソフトウェアに関しては、別途下記のような通達が用意されています。

(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
7−8−6の2
法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注)既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。
【解説者】税理士 村木慎吾
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