税務用語解説

リース取引

 資産の賃貸借取引に関して、法人税法上は、「リース取引」と「所有権移転外リース取引」しか定義が存在しません。一方で、会計面でも、リース取引に関する基準(リース取引に関する会計基準)があり、こちらでは「ファイナンス・リース取引」、「オペレーティング・リース取引」、「所有権移転ファイナンス・リース取引」、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」という用語に関して定義が置かれています。
 このように法人税法と会計基準で、それぞれリース取引に関する用語の定義を設けているとはいえ、実質的に同様の内容を意味しているものがほとんどです。そこで、実務上や解説書等では、会計基準にある用語の定義を、法人税の解説等の場面でも利用していることが多くなっています。具体的に両者を対比すると、以下のようになります。

 

会計基準 法人税法
ファイナンス・リース取引 @リース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずる取引
 かつ
A借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、その物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引
リース取引 @ 賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること(ノンキャンセラブル)。
 かつ
A賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること(フルペイアウト)。
オペレーティング・リース取引 ファイナンス・リース取引以外のリース取引 リース取引以外の賃貸借取引 定義無し


  会計基準 法人税法
ファイナンス・リース取引 所有権移転ファイナンス・リース取引 @ 所有権移転条項付リース取引
A 割安購入選択権条項付リース取引
B 特別仕様のリース取引
所有権移転外リース取引以外のリース取引 定義無し
(所有権移転外リース取引に該当しないリース取引)
所有権移転外ファイナンス・リース取引 所有権移転ファイナンス・リース取引以外のファイナンス・リース取引 所有権移転外リース取引

リース取引のうち次のいずれにも該当しないもの
@ 無償又は名目的な対価で賃借人に譲渡されるリース取引
A 著しく有利な価額で買い取る権利が賃借人に与えられているリース取引
B 特別仕様のもの又は識別困難なリース取引
C リース期間が法定耐用年数に比べて相当短いリース取引

 

 したがって、所有権移転外ファイナンス・リース取引と文章にあれば、法人税法上は、所有権移転外リース取引と、オペレーティング・リース取引とあれば、法人税法上は、リース取引に該当しない賃貸借取引と理解すれば良いかと思われます。

【解説者】税理士 村木慎吾
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