税務用語解説

DES(デッド・エクイティ・スワップ)

 DESとは、Debt Equity Swapの略であり、文字通り、債務者がDebt(債務)とEquity(資本)をSwap(交換)する取引です。交換取引であるため、登場人物は、2者以上存在し、以下の図のような取引が行われることになります。

 法律的には、債務者は株式の発行(処分)を行い、受け入れ資産として自社宛の債権を取得します。仕訳で表現すると以下のとおりです。

(借方)   (貸方)
自己宛金銭債権 ×× / 資本金等    ××

 

 一方、出資者である債権者は、金銭ではなく債権という現物資産を出資し、債務者の発行する株式を取得します。仕訳で表現すると以下のとおりです。


(借方)   (貸方)
株式          ×× / 金銭債権    ××
(債権譲渡損等   ××) /  

 

 要するに、新株発行会社に対する債権を出資財産とする現物出資取引です。

 なお、新株発行会社である債務者側では、債権者から自己宛債権(自己が債務者となっている債権)を取得し、その対価として自社の株式を発行するため、概念的には、債務者が自らを債務者とする債権を保有することになります。このように、債権者と債務者が同一人物になった場合には、当該債権債務は自動的に消滅することになります(民法520条)。

民法第520条
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。
ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

 したがって、DES取引における債務者においては、上記の現物出資による受け入れ処理と同時に、債権債務の消滅処理が生じるため、以下の仕訳を行うことになります。


(借方)   (貸方)
債務   ×× / 自己宛金銭債権  ××
  / (債務消滅益    ××)
【解説者】税理士 村木慎吾
≪≪前へ戻る税務通信のご案内へ税務研究会ホームページ