税務用語解説

文書回答

 全国の国税局では、個別の取引等に係る税務上の取扱いについて照会があった場合には、その回答を文書により行っています。また、その照会及び回答の内容は、同様の取引等を行う他の納税者の予測可能性を高めるために、国税庁ホームページにて公表されています。

 この文書回答は、「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」という国税庁指定の用紙と関係書類を提出することにより行います。
 提出後のスケジュールは、以下のとおりです。

 このうち、「見通しの説明」では、照会があった内容について、文書回答が可能かどうかやその理由などが口頭で説明されることになります。
 また、公表が延長される相当の理由とは、照会に係る新たな金融商品の内容が販売前に公表されるとその金融商品の販売に支障が生じ得る場合など、公表することによって、照会者に不利益が生じる恐れがある場合が該当します。なお、照会者から申出がない限り、照会者名が公表されることはありません(同業者団体等からの照会は、同業者団体名が公表されます)。

 この文書回答は、国税局が行う納税者サービスの一環という位置づけのため、以下のような特徴があります。

【照会する取引等に求められる要件】
●照会者自らが実際に行った又は将来行う予定の取引等であること
●仮定の事実関係や複数の選択肢がある事実関係に基づくものでないこと
●税務調査の手続き等に関係するものでないこと
●財産の評価や取引価格の算定等に関するものでないこと
●主目的が国税の軽減等である取引等や通常の経済取引では考えにくい取引等でないこと
●事実確認や関係者への照会等による事実関係の認定を要するものでないこと
●照会する取引等に関する個別具体的な資料の提出が可能なものであること
●これまでに法令解釈通達などにより、その取り扱いが明らかにされていない取引等であること
●照会する取引等の国税の申告期限前の照会であること

【照会者に同意が求められる事項】
●審査に必要な資料の提出をすること
●照会内容及び回答内容が公表されること
●照会内容等の公表等に伴って発生した不利益や問題については、事前照会者の責任において関係者間で解決すること

【注意点】
●文書回答は、照会者の見解に対して「貴見のとおりで差し支えありません」又は「貴見のとおり取り扱われるとは限りません」という形式が取られること
●回答内容は照会者の申告内容等を拘束するものではないため、回答がないことを理由に国税の申告期限等が延長されることがないこと
●照会途中で国税の申告期限が経過した場合には、回答が行われないこと
●回答内容に不服がある場合や国税の申告期限等までに回答がないことなどに不服がある場合であっても、不服申立ての対象とはならないこと
●最終的に文書回答ができるかどうかは、国税局等の審査の結果によること

【解説者】税理士 村木慎吾
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