税務用語解説

輸出物品販売場

 輸出物品販売場とは、外国人旅行者等の非居住者に対し、土産品等として一定の物品を販売した場合に、輸出免税と同様にこれに係る消費税を免除する販売場で、いわゆる免税店のことです。
 この輸出物品販売場は、観光客の誘致を目的とした販売戦略ツールの一種であり、各国において設けられています。
 輸出物品販売場における免税は、出国時に税関等の確認を受け事後に還付を受ける方式と、販売段階で手続きをすることにより免税で販売する方式があります。日本では、後者の制度が採用されていますが、欧州諸国をはじめ諸外国では前者の方式が一般的です。後者の日本が採用している方式は、外国人旅行者等だけでなく販売業者にとっても簡素な制度であるといえます。

 まず、輸出物品販売場を開設しようとする事業者は、販売場ごとに税務署長の許可を受ける必要があります。この許可は、場所、人員、施設などを総合して判断した結果、その場所での販売に対して受けるものです。そのため、許可を受けていた店舗を移転した場合には、再度、移転先の店舗について許可を受ける必要があります。
 この輸出物品販売場を経営する事業者は、以下の@からEの流れで、免税販売を行う必要があります。

(国税庁HP)

 また、この輸出物品販売場で販売されるすべての物品が免税となるわけではなく、次の3つの条件を満たす物品のみが免税の対象となります。

@ 輸出される物品であること
A 通常生活の用に供される物品であること
B 一般物品又は消耗品ごとに、同一の輸出物品販売場における1日の合計購入額が、一定金額以上であること(消耗品は上限あり)

 なお、この免税制度は、非居住者がその物品を輸出することを前提としているため、国内で消費してしまう可能性のある物品についてはAから除外されています。同じ趣旨から、輸出物品販売場において購入した物品を、国内で譲渡するなどにより輸出しなかった場合には、その旅行者から免除となった消費税額を徴収することになります。

【解説者】税理士 村木 慎吾
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