税務用語解説

償却資産税

 償却資産税とは、固定資産税の一種で、会社が保有する資産のうち土地や家屋以外で減価償却の対象となる資産に対して課される税金です。

 

1.固定資産税と償却資産税の関係

 固定資産税は、毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して、その固定資産の価値(適正な時価)を基礎として課される税金です。固定資産が所在する市町村(東京都23区は東京都)に対して納めます。

 固定資産税の対象となる固定資産は、次の3つです。

@ 土地
   田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地
A 家屋
   住家、店舗、工場(発電所・変電所を含む。)、倉庫、その他の建物
B 償却資産
  @A以外の事業の用に供することができる資産のうち、その資産の減価償却費が法人税の計算の基礎となる利益(所得金額)の計算上、損金の額に算入されるもの

 償却資産税とは、実際に償却資産税という名称の税目があるのではなく、Bの償却資産に対して課される固定資産税のことをいいます。

 

2.固定資産税の対象となる償却資産の範囲

 固定資産税の対象となる償却資産とは、具体的には、次のような資産をいいます。

勘定科目 主な償却資産の例示
構築物
(建物附属設備を含む)
駐車場のアスファルト舗装、庭園、門・塀・緑化設備などの外構工事、袖看板、ネオンサイン、広告塔など
機械及び装置 工作機械、印刷機械などの各種産業用機械、クレーンなどの建設機械、機械式駐車場の駐車設備など
船舶 ボート、釣船、漁船、遊覧船など
航空機 飛行機、ヘリコプターなど
車両及び運搬具 ブルドーザー、パワーショベル、フォークリフトなどの大型特殊自動車等(自動車税や軽自動車税が課されるものは対象外)
工具
器具及び備品
パソコン、プリンター、コピー機、テレビ、キャビネット、エアコン、テーブル、椅子、応接セット、陳列棚など

 

3.償却資産の申告方法

 固定資産税の対象となる固定資産のうち土地と家屋は、原則として登記簿によって固定資産の所有者を把握することができます。これに対して、償却資産は登記をしませんので、どの会社がどのぐらいの償却資産を保有しているかを市町村で把握することができません。
 そこで、償却資産を保有する場合には、毎年1月1日現在の償却資産の明細(取得価額、取得時期、耐用年数など)を記載した申告書を、その資産が所在する市町村ごとに、1月31日までに提出しなければなりません。これは、各法人の決算期に関わらず、全ての法人に共通する提出期限です。
 市町村は、会社(納税者)が申告した償却資産の明細をもとに固定資産税の計算を行いますので、提出期限までに、保有する償却資産の明細を正しく申告しましょう。

 

【解説者】税理士 石井幸子
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