税務用語解説

超過税率

 地方税には、地方自治体(都道府県・市町村)の条例により、地方税法に定められている標準税率よりも高い税率で税金を課すことができる税目があります。これを「超過課税」といい、その際に用いられる税率を「超過税率」といいます。

1.地方税の特徴

 地方税とは、都道府県や市町村などの地方自治体に対して納める税金をいいます。地方税には現在、約30種類の税目があり、法人住民税(法人道府県民税・法人市町村民税)や法人事業税、固定資産税などもその中のひとつです。
 地方税は、地方税法に定められた上限(制限税率)の範囲内で、各地方自治体が条例により自由に税率を決めることができる税目があるという特徴があります。

 

2.標準税率と超過税率

 超過課税が適用される税目のうち会社に係わりの深いものには、道府県民税の均等割・法人税割、法人事業税、自動車税、軽自動車税、市町村民税の均等割・法人税割、固定資産税、不動産取得税などがあります。
 このうち、道府県民税の均等割・法人税割について、標準税率と実際に超過課税を実施している自治体の税率を確認してみましょう。

(1)道府県民税(均等割)

 道府県民税均等割の税率は、次のいずれか多い金額により決まります。
  @法人の資本金等の額±無償増減資の調整
  A貸借対照表の資本金+資本準備金の額
 地方税法では、道府県民税均等割の税率について上限(制限税率)を定めていません。
 地方税法に定める標準税率と大阪府の税率は、それぞれ次の表のとおりです。

資本金等の額
(上記@Aのうちいずれか多い金額)
標準税率(年額) 大阪府の税率(年額)
 1,000万円以下 20,000円

20,000円

 1,000万円超    1億円以下 50,000円

75,000円

 1億円超     10億円以下 130,000円

260,000円

 10億円超    50億円以下 540,000円

1,080,000円

 50億円超 800,000円

1,600,000円

 道府県民税均等割の税率には、制限税率の定めがないため、大阪府のように資本金等の額などによっては標準税率の2倍の税金を課している自治体もあります。道府県民税均等割の超過課税は、大阪府のほか、愛知県や福岡県など多くの自治体が実施しています。

(2)道府県民税(法人税割)

 道府県民税法人税割の標準税率は3.2%、制限税率(上限)は4.2%と定められています。
 神奈川県の法人税割の税率は、資本金の額や法人税額により異なり、それぞれ次のとおりです。

資本金の額や法人税額 税率
 資本金の額が2億円以下、かつ、法人税額が年4,000万円以下の法人 3.2%
 上記以外の法人 4.0%

 神奈川県では、資本金の額や法人税額が少ない法人には標準税率を、多い法人には超過税率を適用しています。道府県民税法人割の超過課税は、神奈川県のほか、東京都、大阪府など多くの自治体が実施しています。

 超過課税の適用の有無や適用される税率は、自治体ごと、かつ、事業年度によって異なる場合があります。地方税の申告や法人実効税率を算定する際には、各自治体のホームページなどで最新の税率を確認するようにしましょう。

【解説者】税理士 石井幸子
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