
当初申告要件
1.当初申告要件とは?
当初申告要件とは、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるために、当初の申告において“制度の適用を受けることの意思表示”を要求しているものをいいます。この“意思表示”とは、具体的には、当初の確定申告(仮決算による中間申告を含む)において、申告書に一定事項の記載や一定書類の添付をすることをいいます。
所得税額控除は、平成23年12月改正前は、確定申告を行う際に、確定申告書別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」に控除を受ける金額やその金額の計算に関する明細の記載をした場合にのみ、税額控除の適用を受けることができました。したがって、確定申告で適用を忘れた場合に、修正申告や更正の請求において新たに制度の適用を受けることができませんでした。
2.当初申告要件が廃止されたもの
平成23年12月の改正により、法人に適用される制度では、次に掲げるものの当初申告要件が廃止されました。これにより、これらの制度は、確定申告で適用を受けなかった場合でも、修正申告や更正の請求において新たに制度の適用を受けることができます。
当初申告要件とは、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるために、当初の申告において“制度の適用を受けることの意思表示”を要求しているものをいいます。この“意思表示”とは、具体的には、当初の確定申告(仮決算による中間申告を含む)において、申告書に一定事項の記載や一定書類の添付をすることをいいます。
所得税額控除は、平成23年12月改正前は、確定申告を行う際に、確定申告書別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」に控除を受ける金額やその金額の計算に関する明細の記載をした場合にのみ、税額控除の適用を受けることができました。したがって、確定申告で適用を忘れた場合に、修正申告や更正の請求において新たに制度の適用を受けることができませんでした。
2.当初申告要件が廃止されたもの
平成23年12月の改正により、法人に適用される制度では、次に掲げるものの当初申告要件が廃止されました。これにより、これらの制度は、確定申告で適用を受けなかった場合でも、修正申告や更正の請求において新たに制度の適用を受けることができます。
受取配当等の益金不算入 | 法人税法第23条第8項 |
外国子会社から受ける配当等の益金不算入 | 法人税法第23条の2第3項 |
寄附金の損金不算入(国等に対する寄附金・指定寄附金・特定公益増進法人に対する寄附金) | 法人税法第37条第9項 |
寄附金の損金算入限度額の特例(公益社団法人・公益財団法人に対する寄附金) | 法人税法施行令第73条の2第2項 |
会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入 | 法人税法第59条第4項 |
協同組合等の事業分量配当等の損金算入 | 法人税法第60条の2 |
所得税額控除 | 法人税法第68条第3項 |
外国税額控除 | 法人税法第69条第10・11項 |
引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例 | 法人税法施行令第113条第9項 |
特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の5倍要件の判定の特例 | 法人税法施行令第113条の2第14項 |
特定資産等に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例 | 法人税法施行令第123の8条第3項5号 |
特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例 | 法人税法施行令第123の9条第2.8項 |
3.当初申告要件が課されているもの
平成23年12月改正では、法人に課されている当初申告要件のすべてが廃止されたわけではありません。今現在においても当初申告要件が課されている主なものとして、租税特別措置法に規定されている次の制度があります。
試験研究を行った場合の法人税額の特別控除 | 租税特別措置法第42条の4第10項 |
雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除(雇用促進税制) | 租税特別措置法第42条の12第8項 |
給与の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除(賃上・投資促進税制) | 租税特別措置法第42条の12の5第5項 |
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 | 租税特別措置法第67条の5第3項 |
これらの制度の適用を受けるためには、当初の確定申告の際に、申告書への一定事項の記載や一定書類の添付をしなければなりませんので、手続きを忘れないように注意しなければなりません。
【解説者】税理士 石井幸子