税務用語解説

書面添付制度

 書面添付制度とは、税理士法第33条の2に規定する書面添付制度と、税理士法第35条に規定する意見聴取制度を総称したものです。法人税や所得税などの申告書に、33条の2の書面を添付している場合、無予告調査の場合を除き、税務調査に先立って意見陳述の機会が与えられます。



1.書面添付制度(税理士法第33条の2)
 書面添付制度とは、税理士や税理士法人が、法人税などの申告書を作成した場合に、その申告書の作成に関して、計算・整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面(税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面)を作成した申告書に添付することができる制度です。
【税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面】
 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeirishi/020225_2/02.pdf

  この書類には、次のような事項を記載します。
(1)税理士または税理士法人が作成記入した帳簿書類に記載されている事項
  @ 帳簿書類の名称 (例:仕訳帳、総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書など)
  A 作成記入の基礎となった書類等(例:現金出納帳、預金通帳、給与台帳など)
(2)提示を受けた帳簿書類に記載されている事項
  @ 帳簿書類の名称 (例:議事録、銀行残高証明書など)
(3)計算し、整理した主な事項
  (例:収益の計上基準の確認方法と確認した書類名、顕著な増減事項とその理由など)
(4)相談に応じた事項
  (例:相談内容、回答要旨、申告書への反映状況など)
(5)その他(総合所見)

2.意見聴取制度(税理士法第35条)
 意見聴取制度とは、書面添付をした納税者の税務調査の通知に先だって、税務代理権限証書を提出している税理士に添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会が与えられる制度です。この意見陳述の機会が与えられるのは、税務調査を行うことを事前に通知する場合に限られますので、無予告調査には適用されません。
 意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合には、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない旨」が、原則として書面により通知されます。調査の必要があると認められた場合には、納税者への事前通知の前に、税理士に対して意見聴取の結果と「調査に移行する旨」が口頭(電話)で通知されます。


 

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