税務用語解説

「その他」と「その他の」の違い

 税法の条文上では、「その他」という文言が使われる場合、「Aその他B」と「Aその他B」という2種類の使われ方があります。
 これらの言葉は、一見、同じ意味を表しているように思えるのですが、明確な違いがあり、条文上は使い分けがされています。

 まず、「その他」とは、「その他」の前に特記された事項と並列的な事項が多数予想される場合に使われます。
 例えば、法人税法第34条第5項では、使用人兼務役員について、以下のように規定されています。

5  第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員( 略 )のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。
 この場合、「その他」の後に書かれている「法人の使用人としての職制上の地位を有」するものと、「その他」の前の部長・課長は、使用人であるという部分で並列の関係です。したがって、「その他」で表現されているのです。

 次に、「その他の」とは、「その他の」の前に特記された事項が、「その他の」の後に書かれた事項に含まれる場合に使われます。つまり、例示の役割を果たすのが「その他の」です。
 例えば、法人税法2条第22号では、固定資産について、以下のように定義しています。
22  固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
 この「その他の」の前に書かれた土地、減価償却資産、電話加入権は、「その他の」の後に書かれた「資産」に含まれます。このように例示を示す場合に「その他の」が使われます。したがって、この22号であれば、実際に政令を確認しないと、土地、減価償却資産、電話加入権が固定資産に該当するかどうかは確定しません。あくまで、本法だけでは、資産の例示の一つに過ぎないからです。実際に、政令では以下のように、土地、減価償却資産、電話加入権が再掲されています。
第12条(固定資産の範囲)
 法第2条第22号に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるものとする。
1  土地(土地の上に存する権利を含む。)
2  次条各号に掲げる資産
3  電話加入権
4  前三号に掲げる資産に準ずるもの


 

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