1 相続税の申告について
期限後申告も修正申告も不要です。
国税の更正決定等の期間制限及び徴収権の消滅時効は、各税の申告期限から5年です。
期限後申告書及び修正申告書は、所轄署の決定・更正が行われるまで提出することができますが、国税の徴収権が5年で消滅するため、決定等の期間制限を超えて提出された申告書については税額を収納することができず、その期限後申告書等を収受することができません(通則法18、19、70、72)。
2 相続税申告書の閲覧について
相続税申告書は、閲覧申請者以外の相続人全員の委任状があれば申告書を提出した所轄署で閲覧することができますが、相続税申告書の保存年限は10年ですので、ご照会事例に係る申告書の保管はないものと思われます。
(注)委任状には、実印の押印及び印鑑証明書(発行から3月以内)の添付が必要です。
3 遺産分割協議等について
父親及び母親が所有する不動産のすべてについて、相続登記が未了であれば、一次相続及び二次相続について遺産分割協議が行われていない可能性があります。
仮に、その当時に遺産分割協議が行われていたとしても、不動産の相続登記が実行されていないのであれば、共同相続人全員の意志によって先の遺産分割協議書の内容を合意解除したものとして、改めて遺産分割協議を行うことができます(ご照会事例の事情を斟酌すれば、再分割による贈与には該当しないと考えます。)。
父親及び母親の所有する不動産の相続登記が未了の場合、父親及び母親の存命な相続人(代襲相続人を含みます。)で遺産分割協議を行えば、その不動産の相続登記をすることができます。
このためには、父親及び母親が不動産を所有する市区町村に対して固定資産税台帳の写しを請求し、すべての不動産登記情報を確認されてはいかがでしょうか。
その結果、一部の不動産に相続登記が行われている場合は、相続登記が未了の不動産についてのみ遺産分割協議を行えばよいと考えます。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より) |