トップへ

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

相続税申告における家庭用動産について (20/10/7更新)
Q

 相続税の申告における被相続人のご自宅の家具・家電については、価値がつくものがある場合には個別評価を行っていますが、一般的な住宅の家具・家電等のみである場合については『家財一式 〇万円』として相続財産に計上しております。
 しかし、本件の相続人は、自分の家には価値が付くものは無いとの認識であるため、たとえ5万円であっても『家財一式』として計上するのは納得できないと了承されません。
 新しい家具家電ではなくても、一般的なソファやテーブル等の家具や、テレビ・冷蔵庫等の家電がある場合、価値が0円という事は考えられないのではないかと思うのですが、家財一式を計上せずに申告しても問題はないのでしょうか。




A  

1. 一般動産の評価
 一般動産の価額は、原則として、1個又は1組ごとに評価することとされています。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができるとされています(財産評価基本通達128)。
 そして、一般動産の価額は、売買実例価額又は精通者価額が明らかでない場合は、調達価額から製造の時からの課税時期までの期間の償却費の合計額を控除した金額で評価します(同通達129)。
 その償却費の額の計算は、耐用年数省令に規定する耐用年数に基づき定率法によって行います(同通達130)。
 そうすると、耐用年数が経過した後においても家庭用品として使用されている一般動産の1個又は1組の価額は、1円(備忘価額)として取扱われることになると考えます。

2. 耐用年数が経過した家庭用動産
 耐用年数省令における家庭用品に関し、その耐用年数の最長のものは、「その他もの」で「主として金属製のもの」が15年とされています。家庭用品で、主として金属製のものとして想定されるのは、金庫があります。
 また、冷暖房用エアコンや電気冷蔵庫が6年であることから、課税時期において家庭用動産として評価されるものの全部が耐用年数を経過している場合もあると考えられます。
 そうすると、一般動産の1個又は1組の価額が1円(備忘価額)で計算しても、家庭用動産として一括した場合、1世帯当たり数百円程度にしか計算されないこともあり得ると考えます。
 その場合、家庭用動産として一括して数百円程度を申告書に計上するか否かは納税者及び税務代理人の選択するところであると考えます。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ トップに戻る税務研究会ホームページ