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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

店舗用建物と敷地の評価 (21/1/14更新)
Q

 取引相場のない株式の評価をする場合において、第5表1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書の資産の部の建物及び土地の評価計算について質問します。
 当該法人は、資本金10,000,000円、従業員5人、業種は建築業で小会社に該当します。
 当該法人は、本業の他に貸店舗用の建物とその敷地を所有しています。
 鉄骨コンクリート造り5階建てで、その各フロアを店舗として賃貸の用に供しています。
 この場合において、その敷地を貸家建付地として評価し、その建物については貸家として評価して差し支えないと考えますが、いかがでしょうか。




A  

 貸家の評価は、家屋の価額(固定資産税評価額)から借家権割合に賃貸割合を乗じた価額を控除した価額によって評価することとされていますが(財産評価基本通達93)、ここにいう借家権とは、「借地借家法の適用のある家屋賃借人の有する賃借権をいい、家屋の無償使用はこれに含まれない」と説明されています(財産評価基本通達逐条解説)。
 借地借家法には、借家権の定義は置かれていませんが、借家権は、簡単にいえば、賃料を支払って建物を借りるときに発生する権利であって、同法において、対象となる建物を居住用建物に限定するといった制限は設けられていませんから、アパートや賃貸マンションに限らず、店舗や事務所などの営業用建物についても、賃貸借契約を締結し、賃料を支払うことによって借家権は発生する、すなわち、借地借家法が適用されるということになります。

 したがって、ご質問の事例の貸店舗用の建物についても、各フロアを賃貸の用に供しているということですから、賃借人と賃貸借契約を締結し、賃料を収受しているということを前提に、当該建物については、財産評価基本通達93により貸家として評価し、その敷地については、同通達26により貸家建付地として評価することで、ご見解のとおり差し支えありません。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

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