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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

小規模宅地等の特例における保有要件について (21/2/4更新)
Q

 相続税申告において、いわゆる家なき子特例を適用し、小規模宅地の評価減の適用を検討しています。
 相続人は相続税の負担や今後の生活のことも考慮し、この小規模宅地の評価減の対象地のできるだけ早い時期での売却を希望しています。
 小規模宅地の評価減については、申告期限まで保有しなければならないという「保有要件」があります。これは単純に「当該土地の引渡日が申告期限後であれば大丈夫」という認識でよいでしょうか。
 例えば「契約日の申告期限前であっても引渡日が申告期限後であれば大丈夫」なのでしょうか。




A  

1 小規模宅地等の特例における「保有要件」は、相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を有する必要がありますが、この「有する」という状態についてはどのような状態なのか明らかにされていません。
 しかし、措置法通達69の4-18(申告期限までに宅地等の一部の譲渡又は貸付けがあった場合)では、「措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定については、被相続人等の事業用宅地等の一部が同号イ又はロの申告期限までに譲渡され…、同号の親族(…)の…事業の用に供されなくなったときであっても、当該譲渡され…た宅地等の部分以外の宅地等の部分については、当該親族について同号イ又はロの要件を満たす限り、同号に規定する特定事業用宅地等に当たるものとして取り扱う。」としています。この項は特定事業用宅地等についての取扱いを明らかにしたものですが、保有要件については、特定居住用宅地等も特定事業用宅地等と同様に「申告期限まで引き続き当該宅地等を有し」とされていることから、同様に解する必要があると考えます。
 このため、同項では、「譲渡され、事業の用に供されなくなったとき」としていますので、この「譲渡」とは、当該宅地等を事業又は居住の用に供されなくなったとき、すなわち、「引き渡したとき」と解するのが相当と考えます。

2 そうすると、ご照会の特定居住用宅地等については、契約日が申告期限前であっても引渡日が申告期限後であれば、保有要件は充足することになると考えます。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

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