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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

隣り合う法人と個人が所有する土地が国道と市道に挟まれている場合の正面路線価の考え方 (21/5/11更新)
Q

 A法人は、B氏の長女が発行済株式を100%所有する不動産管理会社です。
 A法人、B氏は、この2筆の土地を国道から進入できるロードサイドビジネスの運営法人に一体で賃貸することになった場合、B氏所有の土地は国道の路線価を正面路線価として一体評価し、面積按分することと考えますが正しいでしょうか。
 市道の路線価を正面路線価として評価することは可能でしょうか。




A

1 財産評価基本通達上、土地の価額は、地目の別に定める評価単位ごとに評価することとされており(評基通7-2)、宅地については、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)を評価単位することとされています(評基通7-2(1))。
 この場合における「1画地の宅地」の判定は、原則として、@ 宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除きます。)の存在の有無により区分し、A 他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分するので、具体的には、例えば次のように判定することとされています(国税庁ホーム/法令等/質疑応答事例/財産評価/宅地の評価単位)。
 なお、贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなどその分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とします。

(1) 所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とする。
(2) 所有する宅地の一部について普通借地権又は定期借地権等を設定させ、他の部分を自己が使用している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とする。一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用している場合にも同様とする。
(3) 所有する宅地の一部について普通借地権又は定期借地権等を設定させ、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とする。
(4) 普通借地権又は定期借地権等の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地とする。
(5) 貸家建付地を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とする。
(6) 2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、その借主の普通借地権又は定期借地権等の評価に当たっては、その全体を1画地として評価する。この場合、貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、それぞれを1画地の宅地として評価する。
(7) 共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、その全体を1画地の宅地として評価する。


2 ご質問の場合、B氏とA法人が、それぞれ有する土地を一体でロードサイドビジネス運営をする会社に賃貸することになったとしても、B氏所有の土地(貸宅地)とA法人所有の土地(貸宅地)は、それぞれを1画地の宅地として評価することになります(上記質疑応答事例の(6)の下線部)。
 したがって、B氏所有の土地(貸宅地)については、(次の質疑応答事例の乙及び丙の貸宅地の評価のように)市道に付された路線価50千円を正面路線価として評価することになります。


○国税庁ホーム/法令等/質疑応答事例/財産評価/宅地の評価単位-7 借地権

【照会要旨】
 甲は、次の図のように隣接している土地を乙、丙から借地して、これを一体として利用していますが、この場合の借地権の評価単位はどのように判定するのでしょうか。

【回答要旨】
 2以上の者から隣接している土地を借りてこれを一体として利用している場合の借地権の価額は、借地権の目的となっているA土地及びB土地を合わせて1画地の宅地として評価します。
 なお、乙及び丙の貸宅地を評価する場合には、それぞれの所有する土地ごとに1画地の宅地として評価します。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

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