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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

オーバーローンの場合の負担割合の考え方 (21/9/6更新)
Q

 夫婦で家屋を購入し、持分を夫2/3、妻1/3としたいと考えていますが、以下のような条件における持分算定の考え方及び贈与税等についてご教示ください。

 家屋の請負金額は4,100万円、諸経費は500万円です。資金は、妻の自己資金300万円(妻の親から贈与)と住宅ローンを4,600万円組んでいます(他の業者へ支払う目的で300万円オーバーローン状態です)。

 住宅ローンの負担割合によっては贈与税の対象になると考えますが、上記のようなオーバーローンの場合では、資金負担割合は自己資金300万円+住宅ローン4,600万円=4,900万円を基に算定するのでしょうか。

 この場合だと、夫2/3:3,267万円(ローン)、妻1/3:1,633万円(自己資金300万円+ローン1,333万円)それともオーバーローンは含めずに、あくまで家屋の取得金額4,600万円(4,100万円+500万円)を基に算定するのでしょうか。


A  

1 相続税法基本通達9-9(財産の名義変更があった場合)は、「不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。」と定め、不動産を「他の者の名義」で新たに取得した場合には贈与税の対象とする、という原則的な取り扱いを明らかにしています。
 この場合の「他の者の名義で新たに不働産を取得した場合」とは、不動産を取得した者(取得資金を出捐した者)以外の者の名義で登記が行われた場合をいいます。

2 ご照会は、不動産を購入し、その持分を夫:2/3、妻:1/3にしたいというものですが、贈与税の課税関係が生じないようにするためには、持分の元となる金額は、その不動産の取得価額(4,600万円)とする必要があります。
 具体的には、不動産の取得価額を、妻が自己資金300万円負担し、残り(4,300万円)はローンで夫婦で負担したとして、持分(夫:2/3、妻:1/3)に相当する価額に一致するようにローンの負担割合を決定すれば特に問題が生じることはないと考えます。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

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