〔回答〕 ご照会の事例では、被相続人Aが特別養護老人ホームに入所する直前においてAと長男Bの生計が一であれば、ご照会の土地は特定居住用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例の適用が可能と考えます。
〔説明〕 小規模宅地等の特例(以下「特例」といいます。)に規定する「居住の用」には、被相続人が居住の用に供することができない事由として政令(措令40の2A)で定める事由より相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかった場合における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用が含まれます(措法69の4@)。 この場合に、その建物を事業の用又は被相続人等(被相続人と老人ホーム等に入居する直前において生計を一にし、かつ、当該建物に引き続き居住している被相続人の親族を含みます。)以外の者の居住の用に供していなかったことが要件とされています(措法69の4@、措令40の2B)。 したがって、Aが特別養護老人ホームに入居する直前において、AとBが生計を一にしていれば、その後、生計が別になったとしても、措置法施行令40の2第3項かっこ書きの「引き続き居住している被相続人の親族」に該当し、特例適用の要件を満たすこととなります。 相続開始時点においては、BはAと生計一とはいえない状態とのことですが、Aが特別養護老人ホームに入居する直前において、BはAと同居しており、建物の構造が二世帯住宅であるなど特殊な場合でなければ、通常、生計を一にしていたといえる状態にあったのではないかと思います。そうであれば、上記で説明したとおり特例適用が可能になるものと考えます。 なお、Aが特別養護老人ホームに入居する直前において、BがAの生計を一にする親族に該当しない場合には、別途検討が必要ですが、生活の本拠は一旦老人ホームに移っていますので、相続開始直前の2か月前後の入院と住民票の移動のみで、従前の居宅を生活の本拠と判断できるかどうかとなると、かなり困難ではないかと考えます。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より) |