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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税事例

自宅建物に対するリフォーム代の相続税上の取扱いについて (21/12/8更新)
Q

(1) 自宅建物(昭和44年9月に新築)の所有権はすべて夫(以下、甲という)の名義になっています。

(2) 妻(以下、乙という)は、令和2年12月、自己の病気療養のため自宅の一部(バス、トイレ、キッチン等)をリフォームし、費用380万円の全額を自己の預金から支出しています。

(3) リフォーム代の請求書の宛先及び代金の振込人は、すべて乙になっています。

(4) 病気療養中であった乙は、令和3年5月に亡くなっています。

【質問事項】
1. 乙が負担したリフォーム代380万円は、自己の病気療養のための費用と解し、相続財産の一部として又は夫(相続人)に対する資金贈与等とみなし、相続税の課税対象にする必要はないと考えていますがいかがでしょうか。

(理由)
 @ リフォーム代はあくまで自己の病気療養のためであること。
 A 自宅建物は木造瓦葺2階建(1階49.98u、2階23.13u)築52年経過し、資本的支出ではなく修繕費の範囲内と考えていること。


A  

〔回答〕
 建物のリフォーム費用については、そのリフォームにより家屋の価額が増加するので、本来、家屋の所有者(夫)が負担すべきものと考えますが、例えば、妻が病気療養のため車椅子生活を余儀なくされたことから、車椅子で玄関やトイレに行くための廊下やトイレの拡幅工事、床の段差をなくす工事、キッチン周りの改造工事など、車椅子生活に必要最小限な工事費用については、家屋の価額に反映しない修繕費であり、これを妻が負担しても、夫に対するみなし贈与とする必要はないものと考えます。
 ご質問のリフォーム費用についても、上述のような病気療養のための必要最小限のものであれば、妻の死亡に係る相続税の計算上、妻から夫に対するみなし贈与財産として相続税の課税価格に加算する必要はないものと思われます。




(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
   

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