トップへ

【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

国税庁 配偶者居住権に係る小宅特例の取扱い等を示す (20/9/9更新)
 

 国税庁は7月7日,「相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」を公表した。同改正通達では主に,“配偶者居住権に係る小規模宅地特例の取扱い”及び“民法の成年年齢の引下げに伴う対応”が示された。
 小規模宅地特例とは,個人が相続や遺贈により取得した財産のうち,当該相続開始の直前に,被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等について,相続税の課税価額の計算上,一定の割合を減額する特例である(措法69の4,措令40の2)。
 配偶者居住権は,民法改正により創設された配偶者の居住権保護のための方策であり,相続開始時に配偶者が被相続人の所有建物に居住していたこと等を成立要件として,終身又は一定期間,配偶者にその使用及び収益を認める権利を指す(改正民法1028等)。
 今回公表された相続税の措置法関係の通達では,建物等に“配偶者居住権”が設定されている場合の小規模宅地特例の取扱いが示された。配偶者居住権そのものは同特例の対象とはならないが,令和2年4月1日以後に相続等により取得した財産に係る相続税から,次の(1)及び(2)は同特例の対象となることが示されている(新設:措通69の4-1の2)。

(1)配偶者居住権に基づく敷地利用権
(2)配偶者居住権の目的となっている当該建物等の敷地の用に供される宅地等(敷地所有権)

 併せて,(1)及び(2)に同特例を適用する場合には,特定居住用宅地等などの“特例対象宅地等”の面積に基づき,次の@及びAの算式で計算した面積によって,限度面積要件(特定居住用宅地等の場合は330u)を判定することができる。

@配偶者居住権に基づく敷地利用権の面積


A敷地の用に供される宅地等の面積

 このほか,配偶者居住権が設定されている家屋の敷地が居住用宅地等に該当する範囲(措通69の4-7の2),配偶者居住権が設定されている建物等の敷地を贈与で取得した際の“個人版事業承継税制”の適用関係(措通70の6の8-15の2)の取扱い等が新たに設けられるなどしている。
 また,相続税の本法関係の通達については,民法改正によって成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることに伴い,令和4年4月1日以後の相続等から未成年者控除の対象も18歳未満とする取扱いなどが示された(相基通19の3-1)。
 なお,これらの具体的な解説については,国税庁が7月22日に公表した「相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)」等を参照されたい。



資産税研究会(税理士懇話会)のご案内へ
≪≪ トップに戻る税務研究会ホームページ