国税庁は1月26日,令和2年分の路線価等について,大阪市の一部地域で減額補正することを公表した。地価変動によって路線価を補正するのは初めてのことだといい,補正対象は,令和2年7月以降に同地域に係る土地等の相続・贈与があった場合である。 これまで,国税庁は令和2年7月1日に令和2年分の路線価等を公表した際に,新型コロナウイルス感染症の影響により,同年1月1日時点と比べて地価が20%超下落し,路線価等が地価を上回る状況になった場合には,路線価等の補正を検討するとしていたが,同年1月から6月までの相続等については路線価等を補正しないこととされた。 しかし今回,外国人観光客の減少等の影響により,大阪府大阪市中央区の『心斎橋筋2丁目』,『宗右衛門町』,『道頓堀1丁目』では,同年9月末時点の地価が20%超下落したことが確認されたため,同年7月から9月までの相続等を対象に,当該地域の路線価に限って減額補正をしている。同地域の地価変動補正率は,“0.96”を適用することとなった(【参考】)。算定方法は以下の通りで,同年1月1日時点の路線価に同年7月から9月分の地価変動補正率を乗じる。
【算式】
路線価(地価変動補正率対象地域) =路線価(R2.1.1時点)×地価変動補正率(7〜9月分)
【参考】地価変動補正率の対象地域(大阪府大阪市中央区の一部地域)の状況
町丁名 |
地価変動率 |
地価変動補正率 |
R2年分路線価(7~9月分)※ |
補正率適用前 |
補正率適用後 |
心斎橋筋2丁目 |
▲23% |
0.96 |
21,520 |
20,659 |
宗右衛門町 |
▲23% |
0.96 |
20,870 |
20,035 |
道頓堀1丁目 |
▲23% |
0.96 |
18,650 |
17,904 |
※代表的な路線の価額(千円単位)
ただし同地域であっても,同年1月から6月までの相続等には,今回の地価変動補正率を適用できない。また,今後,同年10月から12月の相続等における同地域の地価がさらに下落等した場合には「地価変動補正率」が変わることがある。 なお,令和2年7月から9月までの相続等について,路線価等の補正対象とならなかった地域でも,今後,地価がさらに下落していくことがあれば,同年10月から12月の相続等において補正の対象となることがある。同年9月末時点で,前述の大阪市の一部地域のほかにも愛知県名古屋市中区『錦3丁目』などで地価が15%超下落しており,同年10月から12月の相続等では今回よりも補正対象地域が増えることが見込まれる。当該期間の路線価等の補正対象地域は,国税庁が本年4月に公表予定。
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