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【特設】『ウェブ版 資産税通信』(配信・運営:税務研究会)

今月の資産税ニュース

東京局 貸付事業用宅地等判定に係る文書回答を公表 (22/2/9更新)

 東京国税局は昨年12月24日,「市街地再開発事業により中断した貸付事業を相続開始前3年以内に再開した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について」を公表した。照会要旨は以下のとおり。

【照会】
 被相続人甲は平成25年に,都市再開発法に基づく第一種市街地再開発事業に係る権利変換により,それ以前に賃貸等していた建物(従前建物)とその敷地を明け渡し,平成30年3月30日に店舗及び住戸(本件店舗等)の所有権とその敷地権の引渡しを受けた。本件店舗等は平成30年4月1日以後に賃貸等されており,相続開始時点(令和3年2月)において貸付事業の用に供されていた。

 本件店舗等の敷地の用に供されていた宅地(本件宅地)のうち,従前建物に係る賃貸部分に対応する部分は,小規模宅地等の特例(本件特例)の適用対象外の「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等」に当たらないとしてよいか。


【回答】
 本件では,本件宅地が「平成30年4月1日以後に新たに貸付事業の用に供された宅地等」に該当しないことが要件の一つとされる。「新たに貸付事業の用に供された」とは,宅地等又はその上にある建物等が「何らの利用がされていない場合」のその宅地等が貸付事業の用に供された場合をいう(措通69の4−24の3)。

 また,本件と同様に,法令の規定に基づき,土地所有者に対し土地利用の制約が及ぶ点が共通する最高裁判決(最三小判平19.1.23)等を踏まえると,市街地再開発事業により宅地等を貸付事業の用に供することができない場合についても,その事情が解消された際に貸付事業の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がない限り,やむを得ず従前から営んでいた貸付事業が一時的に中断されたに過ぎないと考えられる。

 本件では,平成30年3月30日の引渡し後に本件店舗等を賃貸等していることから,被相続人甲が貸付事業を再開する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情はない。

 よって,本件宅地は,やむを得ず従前から営んでいた貸付事業が一時的に中断されたに過ぎないことから,従前建物に係る賃貸部分に相当する部分は「新たに貸付事業の用に供された宅地等」には該当せず,貸付事業用宅地等として本件特例の適用対象となる。


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